かさぶたは作るべきではない?家でもできる湿潤治療の方法

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前回は「Healing Process」で傷が治る過程とメカニズムについて書きました。

今回は近年注目されている「湿潤治療」を紹介します。

この治療法は家庭で一般的に行われている、傷口を消毒して絆創膏を貼る、といった処置を一切行わずに、より傷口を早く、きれいに治せるということで最近ではより多くの方がこの方法で治療されています。

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>>今回の参考文献はこちら。

moist1

Moist Wound Healing

 これは湿潤治療がケーススタディと共に簡単にまとめられた論文です。

 

moist2

Moisture Controlling  Wound Dressing to Optimize Wound Healing

 これはアメリカの湿潤治療用の医療道具を販売している会社の商品の効果に関するケーススタディです。

 

 

moist3

Skin and Wound Care Manual

 これはカナダで発表された皮膚と怪我の治療マニュアルです。

 

かさぶたは作るべきではない!

すり傷や切り傷をしたときに、みなさんはどのような手当てをしていますか?最も一般的な方法は、傷口を洗って、消毒して絆創膏かガーゼではないでしょうか。

傷口は風通しを良くしておき、できるだけ早くかさぶたができるようにして、かさぶたが自然と剥がれたら下には新しい皮膚が出来ていて、治ったー!

 

「かさぶたができているのは傷が治っている証拠」というのが昔から考えられている「傷の治り方」だと思います。

しかし、最近の医学的な観点からこの治癒過程を研究したら、これが最適な治り方ではないという考え方が広まってきました。

このような処置を行うと、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。

 

あまりオススメしない従来の方法

まず、傷口の消毒です。

傷口をしっかり消毒しないと、ばい菌が入り腫れたり、化膿したりすると思われがちですが、傷口を洗浄するだけで、傷口に付着したばい菌は洗い流せると考えられています。さらに、一般的に使用されている消毒薬は強すぎて、傷口の周りの正常な細胞も殺してしまいます。

 

次に傷口を乾かすということです。

人間の身体は怪我した場所を自分で修復する能力を持っています。傷口を何の処置もせずに放っておくと、傷口から透明な液体が出てきて、傷口がぐじゅぐじゅになると思いますが、この液体が実は損傷した細胞や皮膚を再生する役割を持っているのです。

 

ガーゼなどをしてしまうと、この液体がガーゼに染み込んでしまい、治ってほしい場所に液体が残らなくなってしまいます。さらに、ガーゼや絆創膏は通気性が良いので傷口が風に当たります。

このときに傷口の表面に残った傷口を再生する液体と血液が乾いて固まったものがかさぶたです。

かさぶたは治したい組織や皮膚の上にできるので、かさぶたが邪魔して新しい組織の再生も遅くなると言われています。

 

つまり、一般的な処置をまとめると、、、

  1. 傷口を洗浄してばい菌を洗い流す。
  2. さらに消毒液をかけて傷口のばい菌だけでなく、傷口周囲の正常な細胞も死滅。
  3. ガーゼを貼り皮膚が治るのに必要な体液が傷口からなくなる。
  4. 傷口は渇き、かさぶたができて皮膚の再生が遅くなる。
  5. 長い時間をかけてかさぶたの下に新しい皮膚ができるのを待つ。。。

というのが消毒とガーゼを使った傷口の処置に対する医学的な見解です。

 

オススメの湿潤治療の方法

じゃあ、どうすればいいの?というときに提唱されたのがMoist Wound Healing – 湿潤治療です。日本では「ラップ療法」とも呼ばれているそうです。

ちなみにガーゼなどを使った治療法はDry Wound Healing - 乾燥療法と呼ばれています。

 

湿潤治療とは言葉のとおり「傷口を湿らせて治す」治療法です。湿潤治療では「傷が治る過程で体内から排出される皮膚や組織を再生させる体液を傷口に保ち続ける」というのがコンセプトです。

方法としては、まず傷口を水道水(できれば少し温かい)で洗浄します。消毒液を使わなくても、日本の水道水に含まれている塩素で十分という話を聞いたことがあります。ただ、傷口は少し擦るようにしてしっかり洗いましょう。

 

次ですが、最も簡単な方法としては市販されているキズパワーパッドやハイドロコロイド包帯を付けるだけです。

このときに市販されている食品用ラップと白ワセリンで代用することも可能です。

 

傷口を洗浄したあとに、傷口より大きめにラップを切り、そこに白ワセリンを塗り拡げて傷口に貼り、ラップの端から空気が入らないようにテープや包帯で止めるだけです。

ラップは最低でも1日に一回は変えて、その際に傷口も軽く洗浄してください。

非常に簡単に聞こえますが、非常に簡単なんです!

 

このやり方をわかりやすく紹介している動画があったので紹介させていただきます。

キズパワーパッドのHPにも湿潤治療について図解でわかりやすい説明が載っていたので一度目を通してみると理解が深くなると思います。

キズパワーパッドって?

 

湿潤治療の効果について、参考文献では

  • 上皮形成率の向上
  • 局所的な低酸素状態による治癒過程の促進
  • 血管形成の向上
  • かさぶたの形成を防ぎ、皮膚形成の早期化
  • 閉塞されているため、感染症の確率を下げる
  • 傷口が湿っているため痛みが下がる(末梢神経の保護)
  • 壊死した細胞を痛みなく除去する
  • 傷口の温度を保ち、感染所とかさぶたを防ぐ

などが挙げられています。

 

湿潤治療の注意点

これを見るといいことだらけに見えますが、注意点があることも知っておいてください。

NPO法人 創傷治癒センターによると湿潤治療が不適切なケースもあるようです。

参考文献 「不適切な湿潤治療による被害 いわゆる“ラップ療法”の功罪

 

記事にもあるように、糖尿病や末梢動脈疾患を持っている人には適していない治療法ですので、その場合は避けましょう。それ以外にも、治癒過程でなにか異変や違和感を感じた場合はすぐに医師に相談してください。

 

湿潤治療は一般の方でも簡単にできる治療法として広まってきていますが、家庭で行われる処置は医療機関で受ける治療とは異なることを認識しておいてください。

異変や不安があるときは、迷わず医師に相談することです。

 

まとめ

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あんまり見栄えが良くないですが、これは僕の右腕の火傷のあとです。笑

以前、飲食店でアルバイトをしているときにグリルを掃除してて、アツアツのグリルに右腕を喰われました。

 

すぐに洗浄して、少し冷やしてからラップを使って湿潤治療を施したところ、約1週間であとも気にならないくらいに治りました!

再生された皮膚は日焼けした皮膚より白くてすこし色が違いましたが、それより驚いたのは再生された部分からも腕毛が生えてきたことですね。笑

火傷したあとって、どの部位にしろ体毛は生えにくくなると思いますが、今回は皮膚だけでなく毛根もしっかり治ったようで驚きでした。

 

百聞は一見に如かず。自分で効果がわかると人に教えずにはいられない治療法です☆

 

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