ハムストリングの肉離れ その1〜特徴と原因〜

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スポーツをしているなかで、よく起こるケガの1つとして挙げられるのが「肉離れ」

肉離れとは、急激に筋肉が収縮した結果、筋膜や筋繊維の一部が損傷すること (Wikipediaより) を言います。基本的に、 体のどこの筋肉でも肉離れは起こる可能性がありますが、特にスポーツをしている中で起こることが多いのが、ハムストリング (=太ももの裏)。

今回は、ハムストリングの肉離れについての基本的な特徴と、ハムストリングの肉離れになる原因について、紹介していきます。

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参考にした論文はこちらです。

ham scsho

Hamstring Strain Injuries: Recommendations for Diagnosis, Rehabilitation, and Injury Prevention

ハムストリングの肉離れの見分け方、リハビリの方法、そして肉離れにならないための予防法を紹介した論文です。

 

ham2 scsho 「Risk factors for hamstring muscle strain injury in sport: a systematic review and meta-analysis

ハムストリングの肉離れのリスクファクター (原因) はなんなのか、をまとめたシステマティックレビューです。

 

ハムストリングの肉離れについてまず知っておきたいこと

1998年から2007年までの10年間で、ある1つのNFL (アメリカのプロアメフトリーグ) チームで起きたすべての怪我を集計した結果、ハムストリングの肉離れは2番目に多く起きたケガだったそうです (1番多かったのは、膝の靭帯のケガ)。

また、ハムストリングの肉離れになると、平均で8〜25日間はチーム練習からは離れることになるという統計も出ています。

 

さらに、一番覚えておきたいこと。それは、ハムストリングの肉離れになった人の約3分の1は、スポーツに復帰してから約2週間で再び肉離れをしてしまう (=再受傷の) 可能性がすごく高いということ。つまり、ハムストリングの肉離れをしてしまったら、しっかりとしたケアとリハビリを行わないと、また同じケガを繰り返してしまうことになります。

 

ハムストリング肉離れのメカニズム

それではまず、ハムストリングの肉離れには、どのようにしてなってしまうのか?一番起きやすいメカニズムは、速い動きの中で「股関節を曲げる」と「膝を伸ばす」の動きを同時にしたときです。

ハムストリングは「股関節を伸ばす (=脚を後ろ側へ引く動き)」と「膝を曲げる」動きをする筋肉。これは、上で言ったハムストリングの肉離れが起きるメカニズムとは逆の動きですね。つまり、速い動きのなかでハムストリングが思い切り伸ばされる (=ストレッチされる) と、肉離れが起きやすいということです。

 

具体的にどんなときにハムストリングが伸ばされるかというと、ダッシュをしているときに前足を地面に着けた瞬間や、サッカーボールを蹴るときに、蹴る方ではない足(サポートの足)を地面につけた瞬間(=上の写真のような状態)などです。

少し専門的な言葉を使うと、ハムストリングにエキセントリック収縮がかかっているとき。エキセントリック収縮とは、筋肉を使っているとき (=力が入っているとき) に、その筋肉が伸ばされる (=ストレッチされる) ことを言います 。

 

ハムストリング肉離れの特徴

次に、ハムストリングの肉離れになるとどうなるのか?大きな特徴は以下の3つです。

 

ハムストリングへの突然の痛み

ひどいときは、筋膜や筋繊維が切れる「ポンッ」という音が、もも裏から聞こえるときもあります。

 

ハムストリングに力が入らない (筋力の低下)

ハムストリングを肉離れすると、力がうまく入らなくなったり、力をいれると痛みが出ます。歩くことや走ることができなくなり、足をひきづるようになります。

 

ハムストリングをストレッチすると痛みがある

一番最初に言ったように、肉離れとは筋膜や筋繊維の一部が損傷すること。ストレッチをすることで筋肉は伸び、筋膜や筋繊維も伸びるので、もし肉離れによってが筋が傷ついていると、ストレッチで痛みが発生します。

 

ハムストリング肉離れの原因

それでは、ハムストリングの肉離れになりやすくなる主な原因を、ここから紹介していきます。

 

年齢

多くの研究で、年齢とハムストリングのケガは深く関係がある、と報告されています。もう少し具体的に言えば、より年をとったアスリートは若い選手と比べると、ハムストリングの肉離れになりやすい傾向にある、ということです。

ある1つの研究では、17〜22歳のサッカー選手と23歳以上のサッカー選手の、ハムストリングの肉離れの起きた割合を比べた時、17〜22歳の選手たちの方が少なかった、と報告しています。 

 

既往歴 (以前にケガをしたことがある)

多くの研究で、以前にハムストリングの肉離れをしたことがある人は、再び肉離れをする可能性が高いと報告しています。更にある研究では、前十字靭帯を手術した経験のある人、もしくは膝のケガをしたことがある人は、ハムストリングの肉離れになりやすいという報告もあります。

 

柔軟性

柔軟性も、ハムストリングの肉離れと関係があるようです。

しかし、まず1つ。ハムストリング自体の筋肉の柔軟性は、ハムストリングの肉離れが起きやすくなる原因として、まだしっかりと証明はされていません。簡単に言うと、ハムストリングが硬いからといって、ハムストリングの肉離れになりやすいわけではなさそうだ、というのが現在の研究でわかっていることです。

 

それでは、いったいどこの筋肉が硬いと、ハムストリングの肉離れになりやすくなるのか。

股関節屈曲筋 (股関節を曲げる筋肉=立った状態からももを上げる動きをする筋肉) が硬いと、ハムストリングのケガにつながるという研究結果が出ています。

更に、大腿四頭筋 (=前もも) のかたさと、足首を背屈させる筋肉 (=つま先を上にあげる動きをする筋肉) のかたさも、ハムストリングの肉離れが起きやすくなる原因の1つではないかと言われています。

 

大腿四頭筋のピークトルク

最後はちょっと難しいかもですが。ピークトルクとは、体重 (kg) あたりの関節のトルクの大きさ (Nm) で表される、筋力を比較するための指標のこと (Nakajima整骨院 Blogより)。簡単に言えば、筋力の強さの値です。

大腿四頭筋の筋力が強ければ強いほど (または、大腿四頭筋と比較してハムストリングの筋力が弱いと)、ハムストリングの肉離れになる可能性が高くなるようです。

 

身長、体重、BMI (Body Mass Index)は、ハムストリングの肉離れが起きやすくなる原因とは考えられないだろう、という研究結果が多く出ています。ただ、いくつかの研究では、体重が重くなればなるほど、ハムストリングのケガをする可能性が高くなる傾向にあるという報告がされています。 

さらに、これは少しトレーナー向けですが、「機能的な脚の長さの不一致 (Functional Leg Length Discrepancy)」が1.8cm以上あると、ハムストリングの肉離れになりやすくなる、ということも報告されています。(※ 機能的な脚の長さ=おへそから内側のくるぶしまでの長さ)

 

今回はここまで。

その2では、予防やリハビリのエクササイズを紹介します。お楽しみに。 

 

>>ハムストリングの肉離れその2の記事書きました。

 

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