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セーバー病(踵骨骨端症)まとめ|痛みの原因と対策・ケアの方法

セーバー病アイキャッチ

セーバー病って聞いたことはありますか? これは子供の成長期によくみられる、かかとに痛みが現れるケガの1つです。今回は、スポーツをする子供によくみられる「セーバー病(踵骨骨端症とも言います)」の原因、症状、ケアの方法などについて、まとめてみました。


>>参考文献はこちら。

セーバー_スクショ

Effectiveness of interventions in reducing pain and maintaining physical activity in children and adolescents with calcaneal apophysitis (Sever’s disease): a systematic review
セーバー病に対する様々な治療/トリートメントの効果を調べた9つの研究をまとめたシステマティックレビュー(2013)です。

セーバー病(踵骨骨端症)とは?

踵骨とは、かかとの骨のこと。骨端とは、骨のはじっこという意味。つまりセーバー病/踵骨骨端症(ここからはセーバー病で統一します)とは、かかとの骨のはじっこ(後ろ側と下側)に痛みが起こるケガ(痛みの起こる詳しい位置は下で)のことです。

そしてこのセーバー病は、成長期である7〜15歳くらいの子供に起こるケガであり、これくらいの年齢の子供には、比較的よく起こるケガです。また、運動をする活発な子供もしくは肥満気味の子供によく起こります。

踵骨の骨端線に痛みが現れる

なぜ子供にしか起こらないのか?それは「骨のはじっこ」に秘密が隠されています。

骨のはじっこには「骨端線」というものがあります。骨端線とは、簡単に言えば、骨が成長する部分のこと。下のレントゲン写真(白くうつっているのが骨です)をみてもらうとわかるように、骨のはじっこに線のようなものがありますね。成長期の子供には、この線の部分に軟骨があり、この軟骨が骨に変わっていくことによって、骨が長くなっていきます。骨が長くなるということは、身長が伸びたり、足が大きくなったりするということですね。

下の左の写真は足首のレントゲンです。黒矢印で示されているのが、かかとの骨の骨端線です(決して骨が折れてるわけではありません)。下の右の写真は、上の骨が大腿骨(太ももの骨)、下の2本の骨は右側の太い骨が脛骨(すねの骨。ぶつけると痛い骨です)で、左側の細い骨が腓骨(腓骨の一番下は、外側のくるぶしです)のレントゲンです。どの骨にも骨端線がありますね。

STUDYBLUEより

つまり、かかとの骨の骨端線の部分(後ろ側と下側。ちょうど上左写真の矢印部分)に痛みが起こることを、セーバー病/踵骨骨端症と言います。 

セーバー病の原因|なぜ骨端に痛みが発生するのか

セーバー_骨端線_かかと

ちょうどかかとの骨端線の後ろ側には、アキレス腱(=上図でAchilles Tendon)が付着しています。また、その骨端線の下側には足底筋膜(=上図でPlantar Fascia)という太い腱がくっついています。これらが運動中に、お互いに反対方向に引っ張り合うことで(アキレス腱は上方向、足底筋膜はつま先方向に)骨端線にストレスが発生し、腫れが起きることで痛みが現れる、と言われています。

また、子供の急速な成長も、セーバー病の痛みの発生の原因の1つです。骨の成長に筋肉や腱が追いつかず、骨の急速な成長によって、何もしていなくてもふくらはぎの筋肉(=腓腹筋やヒラメ筋)・アキレス腱によって、かかとの骨が引っ張られてしまいます。

さらに、走ったりジャンプして着地をしたときの単純なかかとへの繰り返し起こる衝撃も、痛みの原因の1つです。

セーバー病の症状

一番の症状は、歩いたり走ったりジャンプをするときに起こる、かかとの痛みです。あまり多くはありませんが、もしセーバー病のケアをせず、痛みがあるにもかかわらず運動をし続けると、剥離骨折(腱が骨を引っ張ることによって、骨が剥がれてしまう骨折のこと)が起きる可能性もあります。

セーバー病の対策・ケアの方法

セーバー病になってしまったら、何をすればいいのでしょうか?

運動中の痛みを抑えるのに一番効果がありそうなのは、アーチをサポートする装具(インソール)ヒールカップです。上で説明したように、痛みが発生する原因は、アキレス腱と足底筋膜がそれぞれ反対方向に引っ張ることで骨端線の部分に腫れが起きます。そのため、その反対側に引っ張られる強さを抑えることが、痛みを抑えるポイントになります。

インソール(上写真)は、土踏まず(=アーチ)をつくることで、走ったりジャンプ後の着地などのときの足への衝撃を和らげる/吸収することを助けます。

なぜインソールがセーバー病に有効なのか。それは「アーチ」がポイントです。

インソールによってアーチ(=土踏まず)ができるということは、足底筋膜が短い状態で保たれるようになります。走ったり、ジャンプの着地によって足に衝撃がかかるときも、インソールによってアーチがサポートされているので、足底筋膜の過度なストレッチ(伸ばされる動き)を防ぐことができます。よって、かかとの下側で、足底筋膜がかかとの骨をつま先側に引っ張る力を和らげることができます。

多くの研究で「扁平足(へんぺいそく)」がセーバー病の1つの原因であるだろうと示されているので、インソールはその点から見ても効果的でしょう。

 

アキレス腱の上側に引っ張る力を和らげる効果がありそうなのが「ヒールカップ」です。多くのヒールカップはシリコンのジェルやゴムなどでできていて、とてもクッション性があります。そのため、かかとへの衝撃を減らすことができます。

また、ヒールカップをかかとの下に置くことで、つま先よりもかかとが上にあがります。かかとを上にあげることで、アキレス腱が少し短い状態になるため、運動中のアキレス腱の上へ引っ張る力も、少し抑えることができます。

 

他にできるケアとしては、アキレス腱の張り/テンションをなくすために、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)のストレッチはかかさず行うようにしましょう。下の写真のように、つま先を少し上にあげた状態で、膝を伸ばしたまま(下写真左)と、膝を曲げて(下写真右)ふくらはぎをストレッチしましょう。

あと、これは論文には特に書かれてはいませんでしたが、セーバー病になりやすい子どもとして「肥満気味の子ども」が挙げられているので、「体重の減少」もセーバー病の治療の1つとして言えるかもしれません。

まとめ

残念ながら、セーバー病にはこの治療をすればいい!という特定のケアは、今のところわかっていません。よって、その人その人の症状に合わせて、治療・ケアをしていかなければいけません。

痛みが出たら、まずはアイシングなどの「PRICE」を行なって応急処置。成長期の子供でかかとの下や後ろ側に痛みがあるからといって、それが必ずしもセーバー病であるとは限りません。痛みが続くようであれば病院(整形外科)に行ってお医者さんに診てもらい、診断を受けましょう。

痛みがあったり、怪我をした時にまずするべき応急処置は「PRICE」です。「怪我の応急処置にはPRICEがベスト|適切な処置で最短の復帰を」の記事もぜひご覧ください。

2 Comments

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  • ぐっさん見しました。ありがとうございます(^○^)

    • とみー

      いえいえ。俺も質問されなかったらしっかりと調べようと思わなかったケガだったから、勉強になりました(^^)

CHAINON管理人

EXOS8のコピーATSUSHI(山口淳士)。米国公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)。外資系企業内のフィットネスセンターで健康指導・運動指導を行う。その他、ストレッチポール公式ブログでの記事監修や、GAP英語勉強会の講師なども。

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