エビデンスに基づく最も効果的なバランスボール体幹トレーニング

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プランク_バランスボール_体幹

フィットネスジムに行ったことがある方は、一度は見たり使ったことがあると思われる「バランスボール」。家にあるという方もいるかもしれません。最近では、オフィスで椅子の代わりにバランスボールの上に座って仕事をする方もいます。現に私も、職場ではバランスボールに座ってデスクワークをしております。

楽しく効果的に様々な部位を鍛えることができるバランスボールは、値段もそんなに高いものではないため、うまく使うととても良いエクササイズツールとなります。

今回は、バランスボールを使った体幹トレーニングについてのいくつかの研究論文を参考に、科学的根拠に基づいた「とても効果の高いバランスボール体幹トレーニング」を紹介していきます。


>>参考文献はこちらです。

バランスボール_体幹_腹筋_スクショ

Core Muscle Activation During Swiss Ball and Traditional Abdominal Exercises

8種類のバランスボールを使った体幹トレーニングと、2種類のバランスボールを使わない一般的な腹筋トレーニングでの、体幹の筋肉群の働きを比較・研究した論文です。

 

バランスボール_NSCA_スクショ

Stability Balls: Reviewing the Literature Regarding Their Use and Effectiveness

バランスボールを使用することのメリットや効果についてがまとめられた、NSCA(National Strength and Conditioning Association)より発行の論文です。

 

バランスボール_論文_スクショ

Muscle Activation Among Supine, Prone, and Side Position Exercises With and Without a Swiss Ball

2016年発行の論文です。仰向け、うつ伏せ、横向きで行う体幹トレーニングを、バランスボールを使う場合と使わない場合で、筋肉の活動量を比較した研究です。

 

「体幹」とは?

よく「体幹トレーニングが重要だ!」「体幹を鍛えないとダメだ!」などと、頻繁に「体幹」という言葉が使われますが、みなさんは「体幹」って身体のどこからどこまでを言うのか知っていますか?

人によって「体幹」の定義は多少異なるかもしれませんが、今回の参考文献では、「体幹」とは「腰部・骨盤帯・股関節部(=Lumbopelvic-hip complex)」のことを言う、と定義されています。少し具体的に言えば、「腹筋群」「背筋群」「回旋筋群」「股関節屈筋群・伸筋群・外転筋群・内転筋群」を指します。

参考文献では含まれていませんでしたが、私個人的な意見としては、体幹に「肩甲帯」も含まれるべきではないかなと思います。特に上半身の動作において、非常に多くの筋肉が付着する肩甲骨がしっかり安定することは、高いパフォーマンスを発揮するためにかなり重要です。

 

【トレーナー向け】「体幹」に含まれる筋肉群

上では大まかに体幹と呼ばれる部位を紹介しましたが、ここでは更に具体的に、体幹を構成する筋肉の名前を紹介します(今回参考にした文献に記載されていた筋肉を下記します)。体幹を構成する筋肉は大きく分けて2種類あります。

 

1)深筋群

身体でもより深層部(=深い部分。手ではなかなか触ることができない)にある筋肉です。

  • 内腹斜筋
  • 腹横筋
  • 多裂筋
  • 回旋筋
  • 半棘筋
  • 腰方形筋
  • 大腰筋
  • 小腰筋

 

2)表層筋

より表面にある筋肉で、触ることができます。

  • 腹直筋
  • 外腹斜筋
  • 脊柱起立筋(腸肋筋・棘筋・最長筋)
  • 広背筋
  • 大臀筋
  • 中臀筋
  • ハムストリング
  • 大腿直筋

 

なぜ体幹トレーニングをして体幹を鍛えるべきなのか?

「体幹」を鍛えるべき理由は巷でたくさん挙げられていますし、現に理由はたくさんあります。ですが今回、その数ある理由の中で特に紹介したいのは、体幹を鍛えることによる「運動・パフォーマンスの向上」です。なぜ体幹を鍛えると運動パフォーマンスが向上するのか、具体的に説明していきます。

 

(例1)野球

野球_ピッチャー_コア_体幹_トレーニング

例として、野球のピッチャーで説明してみたいと思います。私は野球の専門家ではないので詳しいわけではないですが、より速いボールを投げたり、より回転をかけて変化球の変化を大きくするための1つの要素として、「腕を振るスピード」がとても大事になってくると思います。

だからといって、力まかせに腕を思いっきり振っても、ある程度ボールが速くなったとしても、あるポイントでそれ以上速く振れなくなる(=それ以上球速が上がらなくなる)でしょう。より速くを求めるためには、身体をうまく使う必要があります。そこで重要になってくるのが「体幹」です。

 

ムチ_コア_体幹

体幹の重要性がわかりやすいのが、この「ムチ」を速く振るにはどうすればいいのか、を考えることです。

ムチをより速く振って勢いのある「パチン!」という音を出すためには、ただ腕を力一杯大きく振るだけではいけません。腕はもちろん振りますし、力一杯も振るのですが、途中で肩や肘あたりは動きを止める(=安定させる)ことで、手首が自然と速い動きになり、持っているムチはさらにもっと速い動きになります。

腕をずっと振っていては、そこまでムチの動きは速くならず、途中で腕を止めることで、その腕の先にあるムチがより加速するのです。

この「途中で止める」という働きをスポーツをしている最中に行うのが「体幹」なのです。

野球のピッチャーも、ただやみくもに腕を一生懸命大きく速く振るのではなく、振りつつも体幹を止める(=安定させる)ことで、腕をムチのようにより加速させることができ、結果としてより速いボールを投げることができたり、より回転数を増やすことができるのです。

 

(例2)サッカー

サッカー_エキセントリック_ハム_体幹

野球のピッチャーが「腕を速く振る」ように、サッカー選手は「脚を速く、強く振る」ことで、より遠くに、またはより強いボールを蹴る必要があります。原理は上で説明したものと全く一緒です。

ただやみくもに脚を速く振ろうとするだけでは限度があります。ムチのように、より脚を速く振るためには、体幹(=腰部・骨盤帯・股関節部)をしっかり安定させることで、脚がより加速して、より強く、より遠くにボールを蹴ることができるようになります。

 

バランスボールを使って体幹を鍛えると良い理由

様々な方法で体幹は鍛えることができますが、体幹トレーニングをするときにバランスボールを使うメリットは何なのでしょうか。

 

1)より多くの筋肉が活動する

同じエクササイズをする場合、安定した場所で行うよりも、バランスボールのようなグラグラする不安定な場所で行う方が、身体を安定させるために、より多くの筋肉を使う必要が出てきます。

より多くの筋肉を一度に使うことで、効率的に様々な筋肉を鍛えることができるだけでなく、グラグラする身体を安定させるために、自然と体幹の筋肉群が働くようになります。

 

2)身体のバランス能力が養われる

ここで言う「バランス能力」というのは、「片足でずっと立っていることができる」というバランスだけを指すのではありません。

筋肉・腱・関節には、今身体がどのようになっているかを脳に知らせる「センサー」があります。例えば、ある筋肉がストレッチされると、このセンサーが反応して、脳に「今筋肉が伸ばされていまーす」と伝えます。この筋肉が伸ばされすぎた時、センサーがうまく働けば、「筋肉が伸ばされすぎてて切れそうだよ!」と脳に迅速に伝わり、それを聞いた脳は、筋肉が切れないように「おいそこの筋肉!短くなれ!」と指令を出すことで、それ以上筋肉が伸びずに、怪我を未然に防ぐことができます。

しかし、もしこのセンサーがうまく働かないと、この筋肉が伸ばされすぎた時に、脳に「筋肉が伸ばされすぎていて怪我しそうだよ!」とすぐには伝わらず、そのまま伸ばされ続けて、結果切れてしまう、ということが起こる可能性があります。

バランスボールを使ってトレーニングをすることで、このセンサーをより刺激することができます。よって、いざという時に、今の身体の状態・状況を迅速に脳に伝えることができるようになります。

 

3)心拍数を増加させる

同じエクササイズでも、バランスボールを使用することで心拍数を増加させることができます。よってNSCAの参考文献では、バランスボールをサーキットトレーニングで使用することで、効率的に心拍数を増加させることができ、短時間でも効果的にフィットネスレベルを向上させることができる、と示しています。

バランスボールを使うデメリットもある】 不安定になってしまうことで、最大筋力を発揮することが難しくなります。よって、より重い重量を持ち上げられるようになりたい!というのが目標の場合、バランスボールを使ったエクササイズは不適切となります。最大筋力を上げたい場合は、安定した場所でトレーニングをする必要があります。

 

科学的根拠に基づいた最も効果的なバランスボール体幹トレーニング5選

バランスボール_体幹トレーニング

それではここから、エビデンスに基づいた、とても効果の高いオススメバランスボール体幹トレーニングを紹介していきます。

 

1)パイク(Pike)

今回研究された10種類のエクササイズの中で、最も効果的なバランスボール体幹トレーニングの1つとして紹介されたのがこの「パイク(Pike)」というエクササイズ。腹直筋下部、外腹斜筋、内腹斜筋の3つの筋肉でとても高い活動量をみせました。特に外腹斜筋の活動量は84%とかなり高い数値が出ています。

ですが、最も効果的なエクササイズであると同時に、今回紹介するエクササイズの中では最も難しいエクササイズでもあります。基本的な体幹トレーニングがしっかりできるようになってからやるようにしましょう。

  1. 腕立て伏せのポジションで、両足をバランスボールの上にのせる(膝と足の甲の間くらい【左画像】)
  2. 頭から足まではまっすぐ
  3. 両膝はまっすぐキープしながら、お尻を上に持ち上げながら股関節を曲げていく(90〜100°くらい)
  4. 1秒ほどそのポジションでキープし、ゆっくりスタートポジションに戻る

私個人的には体幹として考えている「肩甲帯」の安定性を鍛えるトレーニングとしても、このパイクは非常に効果的です。

 

2)ロールアウト(Roll-out)

パイクとともに、最も効果的なバランスボールを使った体幹トレーニングとして参考文献に紹介されているのが、この「ロールアウト」というエクササイズです。10種類のエクササイズの中で、一番腹直筋上部の活動量が高く出ました(=63%)。また、腹直筋下部も、上で紹介したパイクに続く2番目の活動量の高さでした(パイク=55%、ロールアウト=53%)。

  1. 両膝立ちとなり(膝は90°)、膝から頭まではまっすぐ
  2. 両肘は伸ばし、両肩は30°くらい屈曲位(=両腕が体の真横にある状態から30°前方に上げる)の状態で、両こぶしをバランスボールの上にのせる
  3. 頭から膝までまっすぐをずっとキープしながら、最初に両こぶしを置いていたあたりに肘がくるまでバランスボールを前方に転がしていく(この時肩は90〜100°屈曲位)
  4. 頭から膝までのまっすぐはキープしながら、バランスボールを手前に転がしてスタートポジションに戻る

 

3)スキーヤー(Skier)

外腹斜筋と内腹斜筋の活動量がともにパイクに続いて2番目(=外腹斜筋が73%、内腹斜筋が47%)だったのがこの「スキーヤー(Skier)」というエクササイズでした。スキーを滑る時の格好に似ていることからそう呼ばれています。

  1. スタートポジションはパイクと同じで、腕立て伏せの状態で両足をバランスボールの上にのせます
  2. 股関節と膝を曲げながら、バランスボールを左肩(もしくは右肩)の方に引きつけてきます
  3. 股関節、膝関節ともに90〜100°くらい曲げたら、ゆっくりスタートのポジションに戻る
  4. 股関節を曲げる時に、お尻があまり上に上がっていかないように注意する(多少はOK)

 

4)プランク・ウィズ・ヒップエクステンション(Plank with Hip Extension)

上で紹介した3つほどではないですが、外腹斜筋、内腹斜筋のどちらも高い活動量が出ました。そして、これは研究には含まれていませんが、体幹の筋肉を使いながら臀筋(=お尻の筋肉)を使うこのエクササイズは個人的にオススメです。理由は、私は臀筋のエクササイズをとても重要だと感じているからです。臀筋を動きの中で(=運動・スポーツ中や日常生活を送る中で)使うことができるようになるのは、腰痛防止をはじめとしてとても大事になってくると思います。

  1. スタートのポジションはパイク、スキーヤーと同じ
  2. プランクのポジション(=腕立て伏せのポジション)をキープしながら、片足ずつ持ち上げる
  3. 片足を持ち上げた時に、身体が回旋したり、骨盤が下に下がってしまったり、腰を反ってしまわないように注意

臀筋のエクササイズについては「科学的根拠に基づいた最も効果的なお尻のトレーニング5選」にまとめています。ぜひこちらもご覧ください。

 

5)プランク・オン・ボール

ここまで紹介した4つのエクササイズは、すべて比較的難易度の高いものです。よって、まだあまり体幹トレーニングを行っていない方や、バランスボールをあまり使ったことがない方がいきなりやると、怪我のリスクが上がってしまいます。

バランスボールを使った体幹トレーニングをこれから始めるという方は、まずはこのエクササイズから始めることがオススメです。

どちらも頭から足までをまっすぐにキープすることが大切です。お尻(骨盤)が下に落ちて腰が反ってしまうのも、逆にお尻が上に上がってしまうのもよくありません。15〜20秒ほどキープできるといいですね。

 

【おまけ】正しいサイズのバランスボールの選び方

バランスボールは、様々なサイズのものが売られています。小さいものだと子供用で45センチくらいのものから、大きいものだと1.2メートルのものもあるらしいです(さすがに大きすぎやしないかい。笑)。

NSCAによる参考文献によれば、適切なサイズのバランスボールは、「ボールに座った時にももが床と平行よりもややお尻が上にあるくらい」のサイズだそうです。

 

まとめ

今回は体幹トレーニングを紹介しましたが、バランスボールは他の目的でも使うことができるとても便利なツールです。また、同じエクササイズでも、バランスボールを使うだけで強度を高くすることができます。

そんなに高いものではありませんし、使ったことがない方はぜひ一度使ってみてください。

 

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