あなたは、怪我をしたり、病気になったり、どこかが痛かったり調子が悪くなったら、どこに行きますか?まずパッと浮かぶのは「医者」ですかね。その他は誰でしょうか?

日本には国家・民間資格含めて様々な医療資格がありますが、それぞれ得意分野があります。ですが、様々な種類があるがゆえに、ややこしくなっているのも現実です。

今回は日本で働いている医療関係の国家資格を紹介するとともに、一体何を専門にしているのか?得意分野はなんなのか?怪我をしたり、どこかが痛くなったとき、誰を頼れば良いのか?を紹介したいと思います。

特に、スポーツをしていて怪我をした場合に関わるであろう職業を紹介していきます。

1)医師

doctor

医師とは「医術を仕事にする人。医師法の適用を受けて、病気の診察・治療に当たる人(デジタル大辞泉)」のことを言います。

医療は、医師なくしては成り立ちません。医師の主な仕事内容は「診察」「治療」「投薬」です。様々な資格がありますが、医師にしかできないことはとても多く、その分責任も大きい職です。

まず「診察」ですが、診察をしてその怪我・症状が一体何なのか「診断」して症状名・病名を特定する行為は医師にしか許可されていません。これは意外と知られていないことですが、とても重要なことです。

他の医療従事者は、怪我の状態を調べることはできても、患者さんに「あなたの症状は〇〇です」と怪我の診断名を付けることはできません。

医師は、診断の材料としてとても重要な「レントゲン検査」や「MRI検査」を行うことができます。

「治療」は他の医療従事者も行えますが、医師にしかできないことは「手術」です。身体にメスを入れる行為を許されているのは医師だけです。

最後に「投薬」ですが、医師は患者の状態に応じた薬を処方することができます。看護師や他の医療スタッフが患者さんの状態に応じて医師に提言することはありますが、最終的に状態をチェックし、薬の種類・量を決定できるのは医師のみです。

医師なくして医療はなりたたない、最も重要な職業です。

2)看護師

nurse

看護師とは「傷病者の看護および療養上の世話、医師の診察の補助を職業とする者(デジタル大辞泉)」を言います。

看護師、ナースさんです。白衣の天使とも呼ばれていますね。病院内で一番患者さんと接する時間が長く、医師のサポート役として、なくてはならない存在です。

日本看護協会でも「看護師の仕事は、傷病者や妊産婦の療養上の世話をしたり、診療の補助を行うこと」と紹介されています。

3)鍼灸師

acupuncturist

これは意外と知られていませんが、「鍼灸師(しんきゅうし)」という資格はなく、「鍼師(はりし)」「灸師(きゅうし)」の2つの資格を持つ人を、鍼灸師と呼んでいます。ほとんどの方が両方持っておられるんですけどね。

  • 鍼師:鍼治療を行うことを業とする人(デジタル大辞泉)
  • 灸師:灸治療を行うことを業とする人(デジタル大辞泉)

鍼灸は中国を起源とした東洋医学に基づく伝統的な治療法です。東洋医学とは主に日本、中国、インドなどで用いられてきた医療を総称して呼び、鍼灸は中国から伝えられました。

日本鍼灸師会では「鍼灸は金属の細い針を経穴(=ツボ)に刺入し、あるいは艾(もぐさ)を燃焼させて経穴に刺激を加え、病気を治そうとする施術です」と紹介しています。                        

鍼灸と一言で言っても施術方法は多種多様で、使う鍼の種類も、長さ・刺す場所・深さが違います。さらに、刺してすぐに抜いたり、少し刺したまま置いておく置き鍼のようなやり方まで、施術する人によって全然違います。

個人的な意見としては、鍼灸は特に「痛み」に対して効果的で、人によっては「肉離れを3日で治す」というような西洋医学では想像もできない効果を出す方もいらっしゃいます。

4)柔道整復師

Bonesetter
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柔道整復師とは「柔道整復を業とするために、柔道整復師法に基づく免許を取得した者(デジタル大辞泉)」のこと。

  • 柔道整復:柔道の経験や知識に基づいて、捻挫・脱臼・骨折・打撲・肉離れなどの応急的な回復を行うこと(デジタル大辞泉)

「接骨院」「整骨院」「ほねつぎ」と呼ばれる開業院は全て、柔道整復師の資格をお持ちの方が開かれている治療院です。

これも発祥は、柔道を起源とする東洋医学です。

日本柔道整復師会では「柔道整復師によって、骨・関節・筋・腱・靭帯などに加わる急性、亜急性の原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対し、手術をしない『非観血的療法』によって、整復・固定などを行い、人間の持つ治癒能力を最大限に発揮させる治療を行っています」と説明されています。

説明にもあるように急性・亜急性(怪我をした直後)に対する治療を主にしています。電気治療を使われている治療院が多いことも特徴です。

5)理学療法士

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理学療法士は「身体に障害のある人のリハビリテーションを受け持ち、理学療法を行う専門職(デジタル大辞泉)」です。俗に言う「リハビリ」を専門に行う職業です。

日本理学療法士協会は「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と理学療法を説明しています。

電気や温熱治療も用いますが、一番の特徴は動いて治す運動療法です。怪我をして松葉杖を付いている人を歩けるように、そして階段の上り下り、走るという段階的な能力の改善を西洋医学的な観点から治療していきます。

西洋医学とは、ヨーロッパやアメリカで発祥した医療を呼びます。メスを使った手術も基本的には全て西洋医学に基づいています。

日本の理学療法士は開業権が無く、医師の指示のもと患者を治療することが義務づけられています(ちなみに海外では開業権が与えられています)。そのため、理学療法は主に医師のいる病院やクリニックでのみ受けることができます。

まとめ

他にも医療に関する様々な国家資格がありますが、今回は特に怪我をしたときに関わるであろう資格に絞らせてもらいました。最近は本当に多くの治療法が出てきて、何が一番効果的なのか?というのが最も知りたい情報だと思います。

でも、今回特に知っておいて頂きたいことは医師という存在の重要さです。怪我をしてまず最初に近所の治療院に行くという方も多いかと思いますが、その怪我が何で、どこが、どう悪くなっているかという診断ができるのは、医師だけです。

もちろん私も理学療法士として、例えば、膝が痛いという選手に対して様々なテスト・チェックを行い、「これは半月板が痛んでるかな?」「これは前十字靭帯が痛んでるかな?」「これは筋肉の損傷かな?」という「評価」を行うことはできますが、その疑いを検査によって特定し、怪我を断定し、診断名を付けることができるのは、医師だけです。

ここがとても重要で、このプロセスが抜けていると、その怪我にたいしてベストの治療を行うことが難しいです。

本当に重要なことなので何度も言いますが、怪我をしたらまず最初に病院に行き、医師の診察を受けてください!

様々な治療法はあれど、診断のプロは医師だけです。怪我の状態が断定できてから、鍼灸、柔整、理学療法もしくは他の民間療法など医師と相談し、ベストの治療法を選んで頂ければ、怪我をより早く、よりよい状態で治すことができると思います。

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