私がアメリカで英語を喋っていたり、英語で文章を書いていたりしたとき、頻繁に疑問に思っていたのが「過去形」と「現在完了形」の違いです。

こういうときは過去形を使えばいいのか? でもこの前ネイティブは、似たような状況を表現するときに現在完了形を使ってた気がするな? といったことがよくありました。

きっとそんな疑問を持っている人は多いのではないかなと思います。

ぜひ過去形と現在完了形の違いを覚えて、英会話や英文を書くときに使い分けができるようになりましょう。グンと表現の幅が広がりますよ。


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【結論】過去形は「過去の一点」。現在完了は「過去から現在まで続く」

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今回の記事の内容はこのスライドに集約されているので、これで理解できればこれ以上読む必要はありません。笑

例文として出した2つの文を、まずは日本語に訳してみます。

  • He had low-back pain. 彼は腰が痛かった(過去形)
  • He has had low-back pain. 彼はずっと腰が痛い(現在完了)

過去形と現在完了形の違いがわかっていないと、このように日本語訳をすることはできません。1つずつ解説していきます。

過去形は「ある過去の一点のみ」を表現。今はどうかわからない

過去形の「He had low-back pain.」は、「過去、彼が腰痛を持っていた」ことを表しています。情報はこれしかないので、彼が過去のいつかに腰痛を持っていたということを言っています。

「過去のある一点」はいつなのか?を表現するには、以下のように説明を加えます。

  • He had low-back pain yesterday.(彼は昨日、腰が痛かった)
  • He had low-back pain a week ago.(彼は1週間前、腰が痛かった)
  • He had low-back pain 3 months ago.(彼は3ヶ月前、腰が痛かった)

昨日腰が痛かったとしても、今日腰が痛いかどうかはわからないですよね? それは1週間前でも、3ヶ月前腰痛を持っていても同じです。

この過去形の文章では、今現在も彼は腰痛を持っているのか、それとももう腰痛は治ったのか、というのはわかりません。

過去形では、その過去の一点・一瞬で起こった出来事を表現することになり、それからどうなったのか、今はどうなのか、はわかりません

現在完了は「ある過去の一点から現在まで続く『期間』」を表現

現在完了の「He has had low-back pain.」は、「ある過去のどこかから現在に到るまでずっと腰が痛い」ということを表します。いつからずっと痛いのかを表すためには、以下のように説明を加えます。

  • He has had low-back pain since last night.(彼は昨晩からずっと腰が痛い)
  • He has had low-back pain for 5 years.(彼は5年間ずっと腰痛持ちである)

現在完了は、名前に「現在」と入ってるだけあって、基本的には現在のことを表現しています。ここで挙げた2つの例文も、基本的には「今、腰が痛い」ことを言いたいのです。それに加えて、「いつからずっと」という期間を表したいから、現在完了形を使って表現しているのです。

現在完了形は「経験」「継続」「完了」の3種類を表現できる

上記した「He has had low-back pain.」は、この3種類の中で「継続」を表しています。

「昨晩からずっと痛い」とか「5年間ずっと腰痛持ちである」など、過去から現在に到るまでずっと〜している、という継続した期間を表現したい場合に現在完了を使います。

上で説明しましたが、過去形では現在どうなのかはわかりません。

過去形と現在完了の違いを表す例文2つ

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他の例文も見て、さらに過去形と現在完了の違いを理解しましょう。まずはこちらの例文から。

  • She lost her wallet.(過去形)
  • She has lost her wallet.(現在完了形)

どちらも日本語訳すると「彼女は財布を無くした」となります。ですが、明確に意味は違います。

まず過去形の方から。「過去のいつか」に彼女は財布を無くしましたが、今もまだその財布が見つかっていないのか、すでに見つかったのかはわかりません。

  • She lost her wallet yesterday.(彼女は昨日財布をなくした)
  • She lost her wallet 2 weeks ago.(彼女は2週間前に財布をなくした)

昨日なくしたけど、今朝見つかったかもしれません。2週間前になくして、いまだに見つかっていないかもしれません。

この過去形の文章のみでは、ある過去の一点でその出来事が起きたことはわかりますが、その後どうなったのかはわかりません

一方現在完了は、上記しましたが「現在」のことを基本的には伝えたいので、今現在も財布は見つかっていないことがわかります。

  • She has lost her wallet since yesterday.(彼女は昨日財布をなくして、今もない)
  • She has lost her wallet since 2 weeks ago.(彼女は2週間前に財布をなくして、今もない)

この文も、最初の腰痛の例文と同じで、現在完了形の「継続」用法となります。

tokyo

もう1つ例文を見てみましょう。

  • John went to Tokyo.(過去形)
  • John has been to Tokyo.(現在完了形)

過去形の方の日本語訳は「ジョンは東京に行った」となります。

この文章からわかることは「過去のいつかに、ジョンは東京に行った」ということ。少し説明を加えるなら、以下のようになります。

  • John went to Tokyo yesterday.(ジョンは昨日東京に行った)
  • John went to Tokyo 2 years ago.(ジョンは2年前東京に行った)

2つの文ともに「過去のいつか」を具体的に表しているため、いつ行ったのかがこれで明らかになりましたね。

現在完了形の方の日本語訳は「ジョンは東京に行ったことがある」となります。

何度も言っていますが、現在完了はあくまで「現在」のことを基本的には伝えています。

よってこの文章は、過去のある一点から現在に到るまでの期間を今考えたときに、その期間の中で「東京に行った」という「経験」を伝えているのです。

  • John has been to Tokyo twice. (ジョンは2回、東京に行ったことがあります)
  • John has never been to Tokyo.(ジョンは1回も東京に行ったことがありません

どちらの文章も、過去のある一点から現在に到るまでを考えたときの「経験」を伝えていますね。これが、現在完了形の「経験」用法となります。

まとめ

過去形と現在完了形の違いについて解説しました。

今回の記事では、現在完了形の「完了」用法について解説しませんでしたが、現在完了の3つの用法はすべて「過去のある一点から現在に到るまでの期間」について表現しています。

それさえ理解できれば、過去形と現在完了形のどっちで表現すればいいのかな?と迷ったときもすぐに適切な方を選択できると思います。

現在完了形をうまく会話の中で使うことができると、「こいつ英語喋れるな」とネイティブに思ってもらえますし、表現の幅がグッと広がります。ぜひ使ってみてください。

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