正しいスクワットのやり方を徹底分析!確認すべき12のポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

一回でも筋トレをしたことがある人なら、「スクワット」という名前は聞いたことがあると思います。それくらい誰もが知っている有名なエクササイズなのですが、実は決して簡単ではなく、とても奥が深いエクササイズです。

「Squat(スクワット)」とは「しゃがむ」という意味。人間としての基本的な動きである「しゃがむ」という動きは、正しく行わないと、腰や膝をはじめとした様々な身体の部位に負担をかけます。今は大丈夫でも、正しくない動きでしゃがむという動作を繰り返すことで、徐々に痛みや怪我となって現れてきます。

今回はこのスクワットという動きを細かく分析し、正しいスクワットのやり方・フォームを部位別に詳しく解説していきます。

トレーナーや指導者の方は、正しいスクワットの動きのチェックポイントを知ることで、選手のスクワットを見て、弱点や改善すべき点を知ることができるようになります。


>>参考文献はこちらです。

スクワット_NSCAスクショ

The Back Squat: A Proposed Assessment of Functional Deficits and Technical Factors That Limit Performance

NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)による、バック・スクワットの考察です。

 

正しいスクワットのやり方

それではここから、スクワットを行う際の動きを、部位別に詳しく解説していきます。まずは、バーベルやダンベルなどの重りは持たずに、自分の体重のみでやっていきます。自分の体重で正しい動きができなければ、バーベルなどを持った時に正しい動きはできません。

それでは、スクワット中の上半身の動きから見ていきましょう。

 

1)スクワット中の上半身の動き

上半身で大切なのは、「頭の位置」「目線」「胸の向き」「」です。一つ一つ見ていきます。

 

1−1)頭と首は自然に。首の曲げ伸ばしはしない

スクワット中は、首を曲げて下を向いたり、頭をあげて上を見たりはせず、頭も首も自然な位置(=ニュートラルなポジション)にキープします。重いバーベルなどを持ってスクワットをすると、どうしてもしゃがみこんだ位置から立ち上がるときに首に力が入り、上を向いてしまうことがあります。ですが、頭や首がニュートラルなポジションにないと、背骨としてつながっている胸の骨(=胸椎)や腰の骨(=腰椎)も不安定なポジションになってしまい、力がうまく入らなくなったり、背骨のどこかに負担がかかりすぎて怪我をしてしまう可能性があります。

逆に首を曲げて下を見ながらスクワットをすると、腰が曲がりやすくなります(=腰椎の屈曲)。腰を曲げてスクワットを行うことは、腰にかなりの負担がかかり、こちらも怪我のリスクが非常に高くなってしまいます。

 

1−2)目線はまっすぐか、やや上を見る

スクワット_目線まっすぐ_ニュートラル

真っ直ぐ前を見る

「重いバーベルを持ってスクワットすると、立ち上がるときに上を向いてしまうことがある」と言いましたが、人は動く方向に目線を持っていく傾向にあります。よって、意識せずとも、立っている状態からしゃがみこんでいくときは下を向き、しゃがみこんだ状態から立ち上がるときは上を向く傾向があります。

よって、目線は常に真っ正面(もしくはやや上)を向き、その目線をスクワット中ずっと保つように心がけましょう。目線はやや上でも、頭はニュートラルをキープ。頭は上に持ち上げないように注意しましょう。

やや上を向くことで、上半身が前かがみになりすぎることを防ぐこともできます。ですが、上の向きすぎは過度な首の伸展となり、首の怪我や背骨の不安定性に繋がってしまいます。

 

1−3)胸を張って背中は真っ直ぐに保つ

左はDesigned by Freepikより; 右はNSCA参考文献より

スクワット中は、上半身の動きはなるべくない方が良いです。途中で上半身が動くことは、背骨(特に椎間板)に過度な負荷を与える可能性があるため、怪我に繋がる危険があります。胸を張って、背中は真っ直ぐにキープしましょう(上左写真参考)。

上左写真では両腕を前に出していますが、もし何か棒があれば肩にかつぎましょう(軽い棒にする)。棒を肩にかつぐことで、肩甲骨をしっかり内側(=背骨側)に寄せることができ、胸を張りやすくなります。上右写真のように胸を張らずに腰が曲がってしまうと、背骨(特に腰)にかなりの負担がかかってしまいます。目線も下を向いていますね。

棒を肩にかつぐ場合は、肩幅よりやや広めに棒をつかみます。さらに、「かついだ棒を曲げるように」して、棒を下側に引くように(=肩の筋肉に押し付けるように)することで、背中の筋肉(特に脊柱起立筋・広背筋・肩甲骨の内転筋)が活性化し、重い負荷にも対応できる安定した上半身を作ることができます(=パフォーマンスの向上&怪我の予防)。

【トレーナー向け】 棒をかつぐ位置は「頚椎のC7のすぐ下あたり」と文献には示されています。

 

1−4)両腕は身体と平行に

肩甲骨を内側に寄せることができているかどうかを確認するには、「両腕の位置」を見ましょう。上写真のように、前腕(=手から肘)と胴体が同じ角度(=平行)になっていればオッケー。しっかり肩甲骨が内側に寄って、背中の筋肉が活性化し、脊椎・上半身が安定します。

肩甲骨を内側に寄せることができない、もしくは両腕を身体と平行に持っていくことができない場合、脊柱起立筋・僧帽筋(特に中部)・菱形筋をうまく使うことができていない可能性があります。または、胸筋群の柔軟性の低下も考えられます。

 

1−5)腰椎(背骨)のニュートラルなカーブをキープ

左図はDesigned by Freepikより; 右写真はRuntasticより

上左図のように、背骨は真っ直ぐではなく、前後に微妙にカーブしています。スクワットをするとき、上半身はできるだけ直立をキープして、この背骨の自然なカーブのまま行うことがベストです。どこかの部位をグッと曲げたり、反ったりせず、できるだけ背骨は直立しているときと同じようにキープしながらしゃがんでいきます。

背骨が直立しているときと同じようなポジションになっているかどうかをチェックするためには、「上半身の傾き(=頭から腰)と脛(=膝下)が平行になっているか(上右写真参考)」を見ましょう。膝下の傾きよりも上半身が前に倒れてしまうと、腰の部分にとても負担がかかってしまい、怪我に繋がるリスク(椎間板ヘルニアなど)が高くなってしまいます。

 

2)スクワット中の下半身の動き

次は、下半身の動きを見ていきます。スクワットの動きで大切になる3つの関節、「股関節」「膝(膝関節)」「足首(足関節)」のそれぞれの動きを分析していきます。

 

2−1)股関節:「骨盤ニュートラル」と「左右股関節の高さ」

NSCA参考文献より

股関節は骨盤と脚(=下肢)をつなぐ関節です。よって、スクワットをする際の「骨盤の位置」を決めるのが股関節であり、とても重要になります。

スクワット中の骨盤は「ニュートラル」をキープしましょう。前傾し過ぎ(=腰を反るようなポジション)も、後傾し過ぎ(=腰が丸くなるようなポジション)になってもよくありません。

また、左右の股関節の高さの違いが出るのもよくありません(上右写真参考)。この高さの違いが出てしまう人は、臀筋群の筋力が弱い(もしくはうまく使うことができていない)可能性があります。肩に棒をかついでスクワットをすると、その棒の傾きを見ることで、股関節の高さがまっすぐか傾いてしまっているかがわかりやすくなります(上右写真の棒が斜めになっていることがわかります)。

 

2−2)膝関節:「つま先の真上に膝」と「過度に膝を前に出さない」

膝内側

LRVBより

膝の位置の注意ポイントは2つ。まずは「常につま先の真上に膝があるように」というもの。

上の写真はスクワット中の写真ではないですが、スクワットをした時に、足よりも内側に膝が入ってしまうと、膝にかなりの負担がかかってしまい、怪我のリスクが上がります。よって、スクワット中は常に膝はつま先の真上であるべきです。鏡の前でスクワットをしてみたり、トレーナーや指導者にみてもらって、膝の位置をチェックしましょう。

もし膝が内側に入ってしまう場合は、膝の位置をしっかりと意識してスクワットをしましょう。意識してやり続けることで、身体が(=脳が)その動きを覚えます。

もし注意しても膝が内側に入ってしまう人は、「股関節外転筋・外旋筋の筋力が弱い(大臀筋・中臀筋など)」「股関節伸展筋群の筋力が弱い(大臀筋・ハムストリングなど)」「股関節内転筋群が強く働きすぎている」「足首が固い(=足関節背屈制限)」のいずれかが疑われます。

スクワットをするときに膝が内側に入ってしまう人は、スポーツ中の動きでも膝が内側に入ってしまいます。上の写真はバレーボール選手の写真ですが、無我夢中でスポーツをやっている時に、膝が内側に入らないようにしないと!と意識はできません。正しい姿勢・ポジションでスクワットができるようになることは、スポーツ中のパフォーマンス向上とともに、怪我の予防にも繋がります。

 

スクワット_膝前出てる_踵浮いてる

膝が過度に前に出ています。かかとも浮き気味です

膝に関する注意ポイントの2つ目は「過度に膝をつま先よりも前に出さない」ということ。

たまに聞くのが、スクワットを横から見たときに「膝がつま先よりも前に出てはいけない」という誤ったアドバイスです。確かに、膝が「過度に」つま先よりも前方に出てしまうのはいけませんが(=膝への負担が高く怪我に繋がる)、身長が高い人や、脚が長い人(膝下が長い人)は、絶対につま先よりも前に膝が出ます

膝がつま先よりも過度に出ないように注意することは大切ですが、無理やり出ないようにすれば、上半身が前かがみになりすぎてしまい、結果として股関節や腰に過度な負荷がかかってしまうことになります。

よって、膝とつま先だけを見て判断するのはやめましょう。上記しましたが、上半身と脛骨が平行になっていれば(プラスかかとが地面にちゃんとついていれば)、たとえ多少膝がつま先よりも前方へ出ていても良いスクワットの形です。

過度に膝が前方に出てしまう場合は、「ふくらはぎ・ハムストリングス・臀筋群の筋力不足」「ふくらはぎ(腓腹筋とヒラメ筋)の柔軟性不足」「股関節の柔軟性不足」などが理由として挙げられそうです。

 

2−3)足関節:「つま先・かかとを地面から離さない」

スクワット_足のポジション

足の裏は地面につけたまま

NSCA参考文献より

まずはスタンス。両足は肩幅に開きます。両足を肩幅以上に広げて行ったり(=ワイドスタンス)、逆に肩幅よりも狭い幅(=ナロウスタンス)でのスクワットは、肩幅で行うよりも膝に負担がかかりやすいです。よって、これからスクワットを覚える方や、まだ筋力があまりない方は、スクワットの基本スタンスである肩幅から始めましょう。

スタンスは肩幅して、つま先はまっすぐかやや外側に向けます(〜10°以内)。つま先を外側に開きすぎることは、スクワットをしている際に、足首に回旋の動きがかかりすぎるため、これもオススメできません。

 

スタンスを肩幅にした上で、スクワットをする際に一番気をつけるべきなのは、「足の裏(つま先からかかとまで)が地面から離れないようにすること」です。

もう少し具体的に言うと、スクワットを始めるときは足の真ん中に体重を乗せておきます(両足は肩幅)。しゃがみこんでいくにつれて、だんだん体重はかかと側へ、さらに若干足の外側に体重が移動します。下までしゃがみこんでから立ち上がる際も、体重はかかと〜足の外側。ですが足の内側〜つま先も地面にしっかりとつけておきます。体重を若干かかと側〜足の外側に乗せることで、臀筋群〜ハムストリングをしっかり活性化させることができます。

どうしてもスクワット中に(特にしゃがみこんでいく過程で)足の裏のどこかが地面から離れてしまう場合、「ふくらはぎ・前脛骨筋・後脛骨筋の筋力不足」「股関節・足関節の柔軟性不足」の可能性があります。

 

3)スクワット中の一連の動き(Movement Mechanics)

上半身と下半身の注意すべきポイントがわかった上で、次はスクワットの一連の動きで意識すべきポイントを紹介していきます。

 

3−1)立った状態からしゃがみこむ(Descent)

スクワット_椅子に座るように

Pinterestより

立った状態からしゃがみこみ始めるとき、下半身でまず最初に曲がるべきなのが股関節です。ですが、これがなかなかできない人が多いです。

上記してきた下半身の動きのポイントである、両膝がつま先よりも極端に前方に出てしまったり、状態が前かがみになりすぎたり、かかとやつま先が地面から浮いてしまうなど、「しゃがみこむ」という動きがうまくできない方には、私はよく「少しだけ遠くにある椅子に座るように」と伝えます。

遠くにある椅子に座るためには、お尻を後ろに引く必要があります。「お尻を引く」をいう動きを意識することで、膝が前方に出過ぎないようにもなります(このお尻を引くという動きは「ヒップヒンジ」と言ったりもします)。

ヒップヒンジがうまくできない人は、動きの習得がもちろん必要ですが、それとともに、ハムストリングや臀筋群の筋力が弱いという可能性もあります。これらの筋力が弱いと、どうしても膝を前に出して大腿四頭筋(=前ももの筋肉)の筋力に頼ろうとします。

 

2つ目のポイントは「しゃがみこむスピード」です。

しゃがみこむ動作と立ち上がる動作のスピードは「2:1〜4:1」くらいの間にしましょう。しゃがみこむ動きの方が、立ち上がる動作よりもゆっくりであるべきです。

スピードをコントロールしてしゃがみこむことができない場合は、バーベルやダンベルの重さが重すぎます。しゃがみこむスピードが早いと、体勢が不安定になりやすいとともに、筋肉を急激に伸ばす(=ストレッチさせる)ことになり、怪我のリスクが高くなってしまいます。

 

3−2)しゃがみこむ深さ(Depth)

次は、どこまでしゃがみ込めばいいのか、です。これはズバリ「ももが床と平行」になるところまで(もしくは「股関節が膝よりも若干下」になるところまで)です。

しっかりとしゃがみこまなければ、ハムストリングや臀筋群をしっかりと活性化させることができません。しゃがみこみが浅いスクワットは、より大腿四頭筋を使うスクワットとなります。これを続けていると、日常生活での動きやスポーツ中の動きでも、しゃがみこむような動作のときは大腿四頭筋をたくさん使ってしまうことになり、結果として膝に負担がかかってきます。

ももが床と平行か若干下まで下げることができない場合、もしくはそこまで下げてしまうと上半身の姿勢・下半身の動きが乱れてしまう場合は、ハムストリングスや臀筋群の筋力が足りない可能性があります。また、ハムストリングス・臀筋群・股関節内転筋群の筋肉が硬い(=柔軟性の低下)ことが原因の可能性もあります。

 

3−3)立ち上がる(Ascent)

立ち上がる動作は、しゃがみこんできた動作をそのまま巻き戻すイメージです。

立ち上がる際に一番使うべき部位は、やはり「股関節」です。せっかくしゃがみこむ時にハムストリングスや臀筋群をしっかり活性化させたので、立ち上がる際もそれらの筋肉をしっかり使っていきましょう。

両足の真ん中からやや後ろ体重をキープしながら(それでもつま先は地面から離れないように)、股関節、膝、足首を同時に伸ばしていきます。上半身はなるべく無駄な動作が起こらないように。前かがみになったりせず、しゃがみこんできた姿勢をそのままキープします。

 

【トレーナー・指導者の方へ】スクワットはスクリーニングツールとしても使える

トレーナーや指導者の方は、選手にスクワットをさせる事で、その選手がするべきトレーニングを知ることができます。ここまで挙げてきたスクワットのポイントを一つ一つ見ていくことで、その選手の弱点や改善すべき能力(筋力・柔軟性・安定性など)を評価することができます。

トレーナーの方や、これからトレーナーを目指す学生の方は、ぜひスクワットの正しい動きを知り、目の前の選手のパフォーマンスをより上げるために、また怪我を未然に防ぐことができるようになりましょう。

 

まとめ

スクワット(バックスクワット)は、「しゃがみこんで立ち上がる」というとてもシンプルな動きですが、色々な要素が詰まっています。

日常生活で、意識せずとも何度も行なっているこの「しゃがみこんで立ち上がる」という動きを、身体に負担をかけることなくできるようになることで、腰痛を含めた生活習慣で起こる痛み・凝りや、スポーツをする上でのパフォーマンス向上に役立ちます。

ぜひここであげたポイントを抑えて、正しいスクワットができるようになりましょう。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。