Healing Process~傷が治るメカニズム~

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今回は少しお勉強の記事を書きます!

テーマは傷や怪我の治り方。

例えば指先を切ったり、足首を捻って靭帯を損傷したとき、人間の体は体内の損傷部位を自分で治す機能を持っています。薬を飲んだり、リハビリをしたりというのは、正直な話、この自己再生能力を助けるためのものと言ってもいいと思います。

この自己再生能力を理解すると、「RICE」の記事で書かれているように、なぜ、怪我をした直後は安静にしたり、冷やしたほうがいいのかということの理解が深まります。

ご自分のお子さんや生徒さんに「怪我をしたあとはなんで動いちゃいけないの?冷やさないといけないの?」と質問された時にも、正確な説明ができて本人たちにも納得してもらうことができ、怪我も早く治ることに繋がれば良いなと思っています。

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>>今回の参考文献はこちら

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The Basic Principles of Wound Healing

これはカナダの怪我の治療を研究している団体がまとめた、「傷の治癒の基本的な原理」という論文です。

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The Wound Healing Process: an Overview of the Cellular and Molecular Mechanisms

こちらはスロベニアの研究者が発表した「傷の治癒過程:細胞と分子のメカニズムの概要」という論文です。

 

>>「RICE」の記事もぜひ読んでみてください。

 

怪我の治癒の段階

怪我の治癒過程は大きく分けて4段階に分かれます。

  1. Haemostasis (血液凝固期)
  2. Inflammation (炎症期)
  3. Proliferation (増殖期)
  4. Remodeling (修復期)

ただし、この段階というのは1から2、2から3に移り変わるのではなく、1から2と徐々に移行していきます。

 

1)Haemostasis (血液凝固期)

まず怪我をしたら出血が起こります。

この段階では傷つき、出血している血管に血小板という組織が集まり、空いた穴を塞いでくれます。

 

2)Inflammation (炎症期)

次に損傷した部位の掃除が始まります。

これは感染症に対する身体の防衛機能の一種で、好中球やマクロファージと呼ばれる白血球の一種が毛細血管を通り、損傷部位に移動し、バクテリア、損傷した細胞、入り込んだ砂などの不要物を取り除いてくれます。

同時に、マクロファージは線維芽細胞という新しい組織を作る細胞を分泌します。

この炎症期は約3日間続くと言われています。

 

3)Proliferation (増殖期)

次に線維芽細胞や肉芽細胞という細胞が損傷した血管や組織を再生していきます。

線維芽細胞から分泌されるコラーゲンという組織が組織の再生において特に重要です。

この増殖期は約2~3週間続くと言われています。

 

4)Remodeling (修復期)

次に再生された組織がより強いものへと変化していきます。

ここでも線維芽細胞がその役割を担います。

再生された組織の強度が上がるとは言っても限度があり、最大でも損傷したことのない組織に比べて80%程度の強度にしか回復しないそうです。

損傷部位や程度にもよりますが、修復期は約1年から2年ほど続くと言われています。

 

簡単にまとめると、

怪我をしたら、

血が止まり、

損傷部位を掃除してきれいにし、

新しい組織ができて

その組織の強度が上がり、怪我が治る

というのが傷が治る過程です。

 

この過程をアニメーションで説明している動画を紹介させていただきますが、説明が英語なので内容はわかりにくいと思います。でも、絵を見るだけで組織の治癒過程が理解しやすいと思うので、是非一度見てみてください!(長いです。7分です。笑)

この過程ですが、個人的に道路の補修作業をイメージすると似てるかなーなんて思います。

 

Youtubeで身体もこんな感じで治ってる、という動画を見つけたので紹介させてもらいますが、ぼく個人はこの動画の団体、商品等一切関係ありませんのでご了承ください。営業目的でもなんでもありません。笑

 

今回は怪我の治り方を紹介させていただきましたが、この治癒過程は切り傷のような怪我だけでなく、筋肉、靭帯、骨など、関わってくる細胞や組織の違いがありますが、おおまかに身体のほぼ全ての組織はこの治癒過程で治ります。

「RICE」の記事で書かれているように、怪我を受傷したときの応急処置で重要なことは炎症をできるだけ抑えることです。炎症が大きく長引けば、それだけ後に続く増殖期と修復期も長引いてしまうからです。

ただ、多くの方が「炎症=悪いこと」という認識を持たれていますが、これは少し違います。

 

上記で書いたように、炎症というのは組織の治癒過程で必要な現象です。これがないと損傷した部位はきれいに治ることが難しいです。

よく怪我をした直後から消炎鎮痛剤という炎症を抑える薬を飲み続ける方がいますが、この消炎鎮痛剤を服用しすぎると、炎症が起こらなくなってしまいます。これは組織の理想的な再生を妨げてしまうので、気を付けたほうがいいです。

 

ではRICEで炎症を抑えるのはどうか?ということですが、RICEは炎症を「消す」のではなく「必要以上の炎症を抑える」という意味合いで使われます。怪我をしたあとに何も応急処置をしなければ、次の日の朝には怪我した部位がパンパンに腫れてしまいます。このような必要以上で、「その炎症を抑えるために処置が必要」なほど炎症を大きくしないためにRICE処置を行うと理解していただければと思います。

要は怪我した部位には適度な炎症は必要となります。この程度は専門家にしか判断しずらい部分ではありますが、RICE処置によって炎症が抑えられすぎるということは聞いたことがないので、応急処置には迷わずRICEを行っていただければと思います。

 

お子さんや指導されている選手には怪我のあとは適切な処置としばらくの安静が必要だということをしっかりと説明してあげてください。

組織が治りきる前に激しい運動を行うと、組織の再生を妨げてしまいます。

道路も補修した後は固まるまで時間がかかるのと同じです!

 

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