怪我をしたらまずするべき応急処置「PRICE」の方法を伝授!

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怪我をしてしまったとき、あなたはどうしますか?

(そんなに痛くないし、きっと大丈夫!)と思っていたら、少し時間が経ってだんだん痛くなってきたり、腫れてきてしまった、という経験はありませんか?

怪我をしたりどこかが痛くなってしまったとき、少し時間が経てば自然に治るだろう、と考えるのはとても危険です。逆に、怪我をしてすぐ、たった10〜20分程度の応急処置をするだけで、その後の怪我の経過がすごく変わってきます。

してしまった怪我をできる限り最小限にとどめて痛みを長引かせないためには、適切な応急処置をする必要があります。そこで今回は「PRICE(プライス)」と呼ばれる応急処置の方法を紹介します。

日常生活で起こる怪我、運動中に起こる怪我、その多くはこのPRICEをすることで、怪我がそれ以上悪化してしまうことを防ぐことができます。

誰にでも簡単にできる方法なので、普段運動をしている人はもちろん、運動やスポーツを指導する立場の方や、スポーツをするお子さんを持つ親御さんなど、怪我が起きたときに近くにいるであろう人にはぜひ覚えておいて欲しいです!


>>今回の参考文献はこちらです。1つの論文のみですが、なんと全112ページです (笑)

ACPSM_PRICEManagement of acute soft tissue injury using Protection, Rest, Ice, Compression and Elevation: Recommendations from the Association of Chartered Physiotherapists in Sports and Exercise Medicine (ACPSM)

Soft tissue injury(=軟部組織、つまり筋肉・腱・靭帯・筋膜・皮膚・血管・神経などへの怪我)に対する応急処置・管理についての、ACPSMから発表されたガイドラインです。

 

怪我はどうしても起きてしまう

軽い運動でも、プロアスリートがするような激しいスポーツでも、怪我というのは防ごうと思ってもどうしても起こってしまうものです。特に「捻挫(ねんざ)」「肉離れ」「打撲」などは、誰しもどれか1つはなったことがあるのではないでしょうか。

足首の捻挫については「足首をひねった!足首を捻挫したときの処置と予防の方法」で詳しく説明しています。打撲については「たかが打撲。されど打撲。2種類ある打撲の見分け方」で解説しています。ぜひこちらも読んでみてください。

 

怪我をしてしまうのはしょうがない。なので、怪我をしてしまったら、”その怪我の程度を最小限にいかに抑えて” “いかに早く治すか” というのが目標になります。

冒頭でも言いましたが、(ひどい怪我でなければちょっと休んでいればすぐ治るでしょ)と思うのはとても危険です。研究調査によれば、応急処置やリハビリをちゃんとしなかった多くの人が、結果としてその怪我をした部位にずっと痛みが残ってしまったり、怪我をする前と同じようにうまく動けなくなってしまったり、再び同じ怪我をしてしまった、という経験をしているのです。

これらのいわゆる「後遺症」を残さないために重要なのが、怪我をした直後(=これを「急性期」と呼びます)にいかに適切な応急処置をするか、なのです。

 

急性期に怪我をした部位では何が起こっている?

身体のどこの部位であれ、軟部組織と呼ばれる筋肉・腱・骨・靭帯などの怪我をすると「炎症反応」というものが起きます。炎症反応とは具体的に言うと、「疼痛(=痛みが出る)」「発赤(=赤くなる)」「腫脹(=腫れる)」「機能低下(=動かなくなる・うまく働かなくなる)」の4つが起きることです。

この炎症反応が長く続くと怪我が悪化してしまうので、炎症反応を早く抑える必要があります。そこでやるべき応急処置が、今回紹介するPRICEです。

以前の記事「RICE処置を徹底解説!怪我をしたらまずライス!」では、「RICE(=「ライス」と読みます)」について紹介しました。今回の記事では、このRICEに「P=Protection(=保護)」を加え、さらに掘り下げて説明していきます。

怪我をした直後にするべき応急処置は「PRICE(プライス)」

「PRICE」とは、「Protection(保護)」「Rest(休息)」「Ice(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の頭文字をとったもののことを言います。

というわけで、急性期に最初にするべき応急処置「PRICE」の具体的なやり方と、なぜするべきなのかという理由について、ここから1つ1つ解説していきます。

 

1)保護・休息(=Protection・Rest)

怪我をした直後は、まずはその部位を「保護」して、「安静」にします。保護・安静をする理由について、詳しく解説していきます。

 

理由その1. 出血を最低限に抑える

足首をひねったり、ももの肉離れをしたりすると、目には見えないですが、怪我をした部位(筋肉・腱・靭帯など)から出血します。怪我をしてしまった後も運動をし続ければ、その運動で使っている筋肉にドバドバ血液が流れていくため、怪我した組織にも血液がドバドバ流れ、どんどん出血が続き、腫れていってしまいます。

怪我をしてしまったとき、最小限にとどめたいことの1つが「腫れを抑える」ことです。腫れすぎてしまうと、その腫れを引かせるのに時間がよりかかってしまい、治るのに時間がかかります。

よって怪我をしてしまったら、なるべく腫れないようにするためにすぐに安静にして、その部位からそれ以上出血しないようにすることが大切です。

 

理由その2. 怪我をそれ以上悪化させない

足首をひねってしまったり、肉離れを起こしてしまったとき、最初はほんの少ししか靭帯や筋肉が損傷していなかったのに、無理してさらに動かしてしまうことで、その損傷が大きくなってしまうことがあります。

言うまでもないかもしれませんが、損傷が大きければ大きいほど、治るのに時間がかかります。よって、それ以上損傷を大きくして怪我を悪化させて治りを長引かせないために、すぐに安静にする必要があるのです。

 

怪我をそれ以上悪化させないためには、特に怪我をした直後は、「怪我をした動き」をしないようにします

例えば、足首をひねった場合は、「足首をひねる」動きはできるだけしないようにしましょう。膝をいためてしまい、膝を伸ばすとすごく痛い、というときは、痛みが出るところまで膝を伸ばすことはなるべく避けましょう。

怪我をした時と同じ動きをすれば、基本的に怪我をした部分(もしくはその周辺)に必ず負担がかかるため、損傷した組織を悪化させる可能性があります。もしその動きを制限することができるようなサポーターなどがあれば(上写真は膝サポーター)、それを利用するのも良いかもしれません。

 

怪我をしてからどれくらいの期間安静にし続けるべきか、というのは怪我の程度によって変わってくるので、ここで断言することは難しいです。病院(基本的に「怪我」をしたときは整形外科を受診すれば大丈夫です)へ行ってドクターの診察を受け、どれくらいたったら少しずつ動き始めても大丈夫かを聞きましょう。

もうあまり痛みもないし大丈夫だ!と自分で勝手に判断して時期尚早に動かしてしまうと、しっかり治っていない部位はまだもろいため、再受傷(=同じ怪我を再びすること)してしまう危険性がとても高いです。しかも、2回目の怪我はたいてい1回目よりもひどくなってしまう傾向にあるので、復帰にかなりの時間がかかります。しっかりとドクターの診察を受け、許可が下りてから少しずつ動いて、リハビリをしっかりして、万全の状態で運動・スポーツを開始しましょう。

怪我をしてからの「ケア→リハビリ」の流れについてもっと詳しく知りたい方は「ハムストリングの肉離れ その2〜ケアとリハビリの具体例〜」をぜひお読みください。

 

2)アイシング・冷却(=Ice)

アイシング_膝_PRICE

氷などを使用して怪我をした部位を冷やすことを「アイシング」と言います。「怪我をしたら冷やせ!」と言われたことがある方もいるのではないかなと思います。ですが、なぜ冷やすべきなのか、皆さんは知っていますか?

上記した「安静・保護」をする理由でも出てきましたが、アイシングをするべき大きな理由は「怪我をそれ以上悪化させない」ということです。では、なぜアイシングをすると怪我がそれ以上悪化しなくなるのか、をここから解説していきます。

 

理由その1. 損傷した組織の血管を収縮させて、腫れを最小限に抑える

アイシングをすると、その部位が冷えて、温度が下がります。身体が冷やされると、その部位周辺の血管が収縮します(=血管が細くなる)。血管を細くすることで、損傷した組織からの出血の量を減らすことができるため、腫れを最小限に防ぐことができます。

また、怪我をして筋肉や靭帯を損傷すると、脳はすぐにその部位を治そうとして、治すために必要な化学物質をその組織に送り込んできます。これ自体は悪いことではないのですが、脳は頑張りすぎるので(脳はとにかく元の状態に一刻も早く戻したい)、必要以上に化学物質をガンガンガンガン送ってきます。出血に加えて、この「必要以上に送られてくる化学物質」が、余計な腫れとなって、怪我の回復を遅くしてしまうのです。

上記した「安静・保護」では、「出血を最低限に抑える」ために安静にしよう、とお伝えしました。これにプラスで、アイシングをして血管を細くすることで、さらに出血を抑えるとともに、化学物質の通り道(=血管)も細くして、必要以上の化学物質が損傷した組織までたどり着けないようにします。

結果、余計な腫れを防ぐことができ、怪我の回復を早めることに繋がるのです。

 

理由その2. 痛みの感覚が和らぐ

アイシングをすることで、皮膚が冷えて感覚がだんだんなくなり、「痛み」という感覚が和らいだりマヒしてきます。痛みの感覚がなくなったからといってその怪我が治ったわけではもちろんありませんが、怪我をした直後は、この「痛みをあまり感じなくなる」ということがとても大切になってきます

 

怪我をして「痛い!」と感じると、脳はその痛みを感じないようにするために、あらゆる手段を尽くしてきます(脳は痛みを感じることがかなり嫌いです)。

「これ以上動かしたら痛いのか!」と脳が感じれば、その痛い部位にある筋肉がそれ以上動かないようにします(=「筋肉のスパズム / 拘縮 [こうしゅく]」と言います)。

「うまく動かないから痛いのか!」と脳が感じれば、その部位をもっとスムーズに動かすために「滑液(かつえき)」と呼ばれる水を関節内に出して、関節の動きをスムーズにしようとします(=「膝に水がたまる」という現象はこのように起きます)。

適度に筋肉が動かないようにしたり、適度に水を出してくれれば良いのですが、やはりここでも脳は身体を守ろうと頑張りすぎて、過度に筋肉を動かないように固めたり、過度に水をガンガン出してきます。この、脳による「過度な保護」は、すべて “痛いという感覚” によってもたらされています

 

怪我だけ(損傷した筋肉・靭帯などだけ)ならすぐに治るのに、脳によって過度に固められた筋肉を緩ませることや、過度に出た水を引かせることの方に時間がかかってしまい、結果、なかなか怪我をする前の状態に戻らない。。。ということが、本当によく起こります。

よって、怪我をしたらすぐにアイシングをして「痛み」という感覚をできるだけなくしてあげることで、脳の過度な保護を防ぎ、結果として怪我の治療を短く済ませることに繋がります。

詳しいアイシングの原理について、ストレッチポール公式ブログ「 アイシングとは・痛みに効果的な方法と原理をプロトレーナーが解説!」でも詳しく書かせていただいたので、こちらもぜひ読んでみてください。

 

アイシングには氷を使うのがベスト

アイシング_氷_キューブ

アイシングをするためによく使われるのは、氷・アイスノン・ジェルパックなど。基本的には、怪我をした部位を冷やして温度を下げることができ、感覚をマヒさせて痛みを和らげることができれば、使うものは何でも良いのですが、アイシングに一番適しているものは「氷」です。

氷は氷でも、ベストなのは「製氷機で作られた氷」です。これについても詳しくは ストレッチポール公式ブログで詳しく書いたのでそちらを読んでいただきたいのですが、製氷機で作られた氷を普段アイシングで使うことができる人はなかなかいないと思います。多くの方は、家庭用冷凍庫で作り、保存している氷を使うことになると思います。

家庭にある氷を使ってより効果的なアイシングをするためには、氷のうやビニール袋でアイスバッグを作る際に、少しだけ水を入れることをオススメします。氷のみよりも、少しだけ水を混ぜておくことで、より効率よく温度を下げることができます。

水を少し混ぜると良い理由については、以前書いたアイシングについての記事「3種類の氷によるアイシングの効果の違い」で詳しく解説していますので、こちらをお読みください。

 

じゃあ冷やすべきってことはわかったけど、どれくらい冷やせばいいの?5分?10分?30分?

次は、この疑問にお答えします。

 

目的によって冷やすべき時間の長さは変わる

アイシングをするべき時間の長さは、アイシングをする部位によって異なります

運動やスポーツ経験の長い方は、「アイシングは15分!」とか「20分はするべき!」といった話を聞いたことがあるかもしれませんが、この15分や20分という数字はあまり当てになりません。

アイシングをする際に重要なのは、怪我をした「組織」の温度を下げること。逆に言えば、怪我をしたところが冷えなければ意味がないということです。

筋肉や靭帯の怪我をした場合、人間の身体は一番表面にまず「皮膚」があって、その下に「脂肪組織」があって、さらにその下に筋肉・靭帯・腱などがあります。よって、皮膚がすごく冷たくなったからもう充分冷やした!とは考えるべきではありません。皮膚を怪我したわけではないですからね。皮膚がまず冷えて、だんだん脂肪組織が冷えてきて、そのあとにやっと筋肉などが冷えてきます。

特に「脂肪組織の厚さ」がキーポイント。脂肪組織は、身体の部位によって少ししかないところもあれば(指・肘・腕・足など)、たっぷり分厚い脂肪が付いているところ(もも・腰・背中など)もあります。

その部位についている脂肪が厚ければ厚いほど、その下にある筋肉や靭帯まで冷えるのは時間がかかります。よって、部位によってアイシングをする時間の長さは変えるべきなのです。

詳しくは「アイシングをする効果的な時間は部位によって違う」で詳しく解説しています。ぜひこちらもお読みください。

3)圧迫(=Compression)

怪我をした部位に包帯やバンテージなどを巻いて、圧迫の力を加えることで、腫れを防ぐことが目的の1つです。さらには、怪我した部位を圧迫することで、静脈やリンパによる、怪我をした部位から心臓に戻っていく血流を促進することができるため、これも腫れを最小限に抑えるために有効になります。

ですが、この「圧迫」に関しては、今回の参考文献であるACPSMのガイドラインには「おそらくやったほうが良いだろう( =Probably)」という声明になっています(上記した「保護・安静」と「冷却」は「絶対やるべき(=Definitely)」という表記です)。

 

じゃあ腫れないようにメチャクチャ強く圧迫した方が良いのか、といえばそんなことはなく、血流が止まってしまうほど強く圧迫するのはもちろんダメです。じゃあどれくらいの強さで圧迫すればいいの?という疑問が生まれますが、現段階では、どれくらいの強さで圧迫をするべきか、というのはまだ研究でしっかりとはわかっていません。なので今の所は、「強すぎず、弱すぎず」「血流が止まらない程度に」圧迫しましょう。

さらに付け加えるとすれば、「ある一点」に圧迫が集中しないように、怪我をした部位全体に同じ力で圧迫がかかるようにバンテージなどを巻きましょう。

 

4)挙上(= Elevation)

怪我をした部位を心臓より高い位置にあげる(=挙上)ことで、重力によって心臓から怪我をした部位へ流れていく血液の量を抑える効果があります。重力の影響を減らすことで腫れを最小限に抑えることができるとともに、逆に静脈やリンパなどの、怪我をした部位から心臓に戻ってくる方を促進することができます。

ですが、上記の「圧迫」と同じく、この「挙上」も「おそらくやった方が良いだろう(=Probably)」と明記されています。「保護・安静」や「冷却」ほど、まだその効果が実証されておらず、挙上をすることが本当に怪我の応急処置として効果があるのか?というのは、研究であまり証明されていないようです。

 

いくつかの研究では「リバウンド効果(Rebound Effect)」について言っています。これは、挙上をしている時は重力によって怪我をした部位の腫れの引きが見られるけれど、いざ挙上を終えて普通の体勢に戻ると(=立ち上がったり、歩き始めたりすると)、減った腫れはすぐまた元に戻ってしまう、というもの。

どれくらい挙上をしておけは良い、という具体的な時間の長さも明記されていません。怪我をした部位を1日中ずっと挙上しておくわけにもいかないので、挙上は時間をかける割にあまり効果がないのでは?という研究結果や意見があります。

 

ですが、結論として、現段階でACPSMのガイドラインでは「挙上はおそらくやった方が良いだろう(=Probably)」と明記しているため、挙上は応急処置でやるべきです。

 

まとめ

「保護・安静」と「冷却」に関しては、怪我をした直後は絶対にやるべきだとACPSMのガイドラインでは明記されています。本当に、これを数十分やるかやらないかだけで、怪我の治り具合が変わります。数十分を軽くみて、運動を続けてしまうと、怪我が悪化して、結果、数日、下手したら数十日も怪我の復帰が遅くなってしまうことだってあります。それくらい、怪我直後の応急処置は重要です。

「圧迫」と「挙上」に関しては、もう少し詳しく調べてみて、本当にやるべきなのか?あまり意味がないのか?というところを掘り下げてみたいなと思いました。次は焦点を絞って記事を書いてみようと思います。

現段階では、誰でもできる応急処置として、「PRICE」は絶対に覚えておくべきだと思います。ぜひ実践してみてください。

 

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