前回の記事「腰痛の種類を症状別にチェック|腰の痛みの原因を推測してみる」で、特定の病名に当てはまらない腰痛を「腰椎症」と呼ぶと説明しました。そして、腰痛で悩んでいる方の多くがこの腰椎症に当てはまるのではないかと思います。

レントゲンで目立った異常がなく、ヘルニアや分離症のテストも当てはまらない、もしくは何をやっても痛みが出る。腰が痛いという状態が日常化してしまい、改善することを諦めてしまっている。そんな方が多いと思います。

今日はそんな原因不明の腰椎症に対して、「骨盤の歪み」に注目して解決を目指す方法をお伝えします。もしあなたに当てはまるものがあれば、ぜひそこで紹介されているストレッチや筋トレを行ってみてください。

今までの記事とは違い、参考論文等は一切使わず、僕の経験論を書きますので、この記事を100%信用するのではなく、「試しに自分の腰もみてみよう〜」「そういう見方もあるんや〜」ぐらいの気持ちで読んでいただければと思います。

僕の経験上この評価法と治療法が効果のあったので紹介しますが、誰にでも効果があるとは限らないという理解を持って読んでいただきたいです。

腰椎症を改善するにはまずバランスを整える

さて、僕が腰痛を治療する上で最も気にしていることが「バランス」です。身体を上下に分けると、腰はちょうど真ん中にあります。頭や腕を支え、脚の付け根にもなる、上肢と下肢の接続部分です。

身体のある部分がねじれていたり傾いていると、左右、前後、上下のバランスが崩れ、身体の中心で接続部分である腰に負担がかかりやすいのではないかと思います。腰痛持ちの方によく「私は骨盤が歪んでいるみたいです」「よく姿勢が悪いっていわれます」とおっしゃる方が多いですが、本当にその通りだと思います。

ただ僕が重要だと思うのは、骨盤が歪んでいることでも姿勢が悪いことでもなく、何が原因でその歪みや姿勢の悪さが起こっているのかということです。

今日はその歪み方の例を紹介して、ご自分でチェックしていただきたいと思います。そして、その歪みの原因になりやすいことを紹介するので、長い間腰痛に悩まれている方は一度試していただければと思います。

【腰椎症の原因①】骨盤の過前傾

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写真のように、骨盤が過剰に前傾しているのが原因で腰に負担がかかるパターンがあります。

もしあなたが普段このような姿勢でいるとしたら、腹筋の筋力低下と臀筋(おしりの筋肉)の緊張が原因で骨盤の前傾が起こっている可能性が高いので、腹筋、特に深層部にある腹横筋のトレーニングと、おしりの大臀筋のストレッチをすることで、あなたの腰痛が改善するかもしれません。

腹横筋のトレーニング:ドローイン

腹横筋のトレーニングとして代表的なのが「ドローイン」と呼ばれるエクササイズです。お腹を凹ますトレーニングとして有名ですね。

  1. 仰向けになって、膝を立てます
  2. 鼻から息を吸いながら、しっかりとお腹をまずは膨らませます
  3. 口からゆっくり息を吐きながら、お腹を凹ましていきます。できるだけお腹を凹ませるのがポイント
  4. しっかり凹ませたら、そのお腹の凹みをキープしながら、10秒ほど自然に呼吸をします
  5. 10秒たったらリラックス。これを5〜10回ほど繰り返しましょう

大臀筋のストレッチ:レッグ・クレイドル

色々なストレッチ方法がありますが、私のオススメは「レッグクレイドル」です。

  1. 仰向けになって、ストレッチする脚の膝を胸に引きつける
  2. 片手で膝をつかみ、逆の手で足首あたりを上からつかむ
  3. 膝を胸に引きつけた状態で、足首を逆側の肩の方に引っ張ってくる
  4. 3〜4秒グーッと伸ばしたらリラックス。これを10回繰り返す
  5. 10回やったら、逆側のお尻もストレッチする

【腰椎症の原因②】骨盤の過後傾

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写真のように、骨盤が過剰に後傾しているパターンも腰に負担がかかります。このパターンは、椎間板ヘルニアや座骨神経痛の方によく見られます。

もしあなたがこのパターンに当てはまるのであれば、大臀筋の筋力低下と腰の全面に付いている腸腰筋の緊張が原因となっていることが多いので、大臀筋の筋力トレーニングと腸腰筋のストレッチが有効です。

大臀筋の筋力トレーニング:グルーツブリッジ

大臀筋のトレーニングといえば「グルーツブリッジ」です。家で簡単にできるので、ぜひやってみてください。

  1. 仰向けになって膝を立てる
  2. 足は肩幅に広げて、つま先は若干外側に向ける
  3. かかとで地面を押して、お尻を持ち上げる
  4. 腰を反らない程度までお尻を持ち上げたら、そこで1〜2秒キープ。お尻をしっかり使っていることを意識する

腸腰筋のストレッチ

腸腰筋のストレッチは、やり方を間違えると腰を反ってしまい、腰に痛みを引き起こしてしまう可能性があります。くれぐれも「腰は反らずに」「股関節の前面を伸ばす」ことを意識してやってみてください。

  1. 肩膝立ちになる。前足は膝の真下あたりにおく
  2. 腰を反らないように注意しながら、ゆっくり前側に体重を移動する
  3. 後ろ脚の股関節の前面に少しでもストレッチを感じたらそこで止まって、15〜20秒キープ
  4. 腰に痛みを感じる場合は、少し体を前に倒して反りを解消する

【腰椎症の原因③】骨盤の左右の高さの違い

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骨盤の前傾・後傾は気づきやすいですが、左右の違いはなかなか気づかないものです。これは、腰に手を置いたときに触れる骨盤の最上部の高さの違いで調べます。

このパターンに当てはまる方は、骨盤の高くなっている方の腸腰筋や中臀筋が固くなっている場合があるので、腸腰筋のストレッチをします。さらに、骨盤の低くなっている方の腸腰筋や中臀筋は弱くなっている可能性があるので、筋力トレーニングをします。この両方を行うことで、左右の骨盤の高さのバランスが整ってくるはずです。

中臀筋トレーニング:サイドレッグレイズ

中臀筋はお尻の横についている筋肉です。意外にキツイですが、テレビを観ながらとかでもできるので、ぜひトライしてみてください。

  1. 横向きに寝る。枕や腕枕などをして、頭・首はリラックスする
  2. 床側の股関節と膝を曲げて、身体を安定させる
  3. 天井側の脚はしっかりと伸ばし、身体とまっすぐにする
  4. 伸ばした脚を天井に向かって上げていく(脚が前側に来ないように注意。真上にあげる)
  5. 左右10回ずつ行う。余裕があれば2セット行う

腸腰筋のトレーニングについては、CHAINON管理人のATSUSHIがストレッチポール公式ブログで「腸腰筋トレーニングで潜在能力を最大限に引き出す!ベスト運動10選」という記事を書いています。ぜひこちらを参考にしていただけたらと思います。

【腰椎症の原因④】股関節の外旋

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腰痛持ちの方で、仰向けに寝転がったときに股関節が過度に開く方がとても多いことに気づきました。上の写真は一般的に正常な開き方です。股関節に対して足の開きが45°〜60°くらいだと正常と言ってよいと思います。

hip-external-rotation

上の写真は股関節が開きすぎている状態です。足の小指側が床に近づいていることがわかると思います。これは足首ではなく、股関節が開きすぎている状態で、がに股やO脚の方に多いです。

この状態の方が直立したときに、股関節が開きすぎていることが原因で骨盤も開き、その結果骨盤が後傾し、腰に負担がかかっているケースが多かったです。

hip-rotation-one-side

両足が開いている方も多いですが、上の写真のように片足だけが開いている方も多いです。この場合の方が左右のバランスも崩れてしまい、腰痛の症状が強いケースが多かったです。

足の開きに関しては、梨状筋というおしりの深部の筋肉が固くなっていることが多いので、梨状筋をストレッチすることが大切です。同時に、内転筋という太腿の内側に付いている筋肉が弱くなっていることが多いので、内転筋の筋力トレーニングも必要です。両足が開いている方は両方、片足のかたは開いている方に上記の運動を行うとよいと思います。

梨状筋ストレッチ

上記した大臀筋のストレッチ「レッグクレイドル」と似ていますね。

  1. 仰向けになって、脚を組むような感じで、片足を逆脚の膝の上に乗せる
  2. 足を持ち上げて、両手で膝を持ち、胸に引きつける
  3. 15〜20秒くらいそのポジションをキープする
  4. 逆脚も同じように行う

内転筋トレーニング:SUMOスクワット

相撲の「四股(しこ)」のようなポジションになるので、こう呼ばれています。しっかりももの内側に効かせましょう。

  1. 両足は肩幅よりも広めに
  2. つま先は30〜45度くらい外側を向ける(あまり外側に向けすぎないように注意)
  3. 膝がつま先よりも外側を向くようにしてしっかり膝を外に開きながら、お尻を真下に落としていく
  4. 内ももにしっかりストレッチを感じながら行う
  5. 10回を2セット行う

まとめ

最初にも言いましたが、これは僕が腰痛患者さんを治療した経験をもとに書いているので、科学的に強いエビデンスがある内容ではありません。ただ、腰痛で困っていて、何件も病院や治療院を訪ねても状態が良くならないという患者さんを多く見てきたので、そのような方々が少しでもよくなる糸口にでもなればと思い、今回の記事を書かせていただきました。

運動は簡単に家でできるものを紹介しましたが、運動をする上で痛みがでるようなものは行わないようにしてください。痛みというのは身体からの警告ですので、痛みが出る運動というのはご自身の身体に合っていないということですので中止して、痛みなく行える運動を選ぶようにしてください。

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