私たちは呼吸をしすぎている|今すぐ口呼吸をやめて鼻呼吸にするべき理由

新しい呼吸の教科書スクショ

11月4日に行われる「トレーナーズアカデミーセミナーサミット」で、「呼吸」に関する講義をさせていただくのですが、知識のブラッシュアップのために、現在呼吸の本を何冊か読んでおります。今回はその中の一冊である、アスレティックトレーナーの大先輩である森本貴義さんと近藤拓人さんお二人の共著「新しい呼吸の教科書 – 【最新】理論とエクササイズ」を読んで、私が思ったこと、感じたこと、考えたことを書いてみました。

口呼吸をやめて、鼻呼吸をする

この本では何度も出てくるフレーズであり、あとがきでも書かれているメッセージです。この本を読んでまずするべきファーストアクションは、普段の生活の中で意識して口呼吸をやめて、鼻呼吸を行うことです。実際に私もこの本を読み終えてから、ふとした時に「あれ?今俺、口呼吸してたな」と気づくことがあり、鼻呼吸をすることを意識しています。

なぜ、口呼吸をやめる必要があるのか? なぜ、鼻呼吸が良いのか? それがこの本には、かなり専門的に、専門用語もふんだんに使われて解説されています。

鼻呼吸にするべき理由

気道確保イラスト
口で呼吸をするためには顎が前に出ます

本の中で挙げられていた、口呼吸をやめて鼻呼吸にするべき理由をいくつか挙げます。

まずは「免疫力の向上」。鼻にはまず「鼻毛」がありますね。この鼻毛によって、空気中のウイルスや不純物などが体内に入るのを防いでくれます。さらに、鼻腔(びくう)内でも空気中の埃やウイルスを濾過(ろか)する機能があるため、鼻呼吸をすることで、体内へのウイルスの侵入を防ぐことができ、結果として免疫力がアップします。口で呼吸をするとそのような機能は働かないため、風邪をひきやすい、などといったことが起きます。

姿勢が良くなる」というのも鼻呼吸の利点です。というよりは、口呼吸をしていると姿勢が悪くなる、という言い方が正しいかもしれません。

口で呼吸をするためには、気道を空けなければならないため、頭やあごが前に出ます(上写真参照)。頭・あごが前に出るというのはつまり「猫背」のような姿勢になるということ。口呼吸をしていると、口から酸素を取り入れるためにどんどん猫背になってしまうのです。一方、鼻で呼吸をしていれば気道は開いているため、呼吸によって頭・あごが前に出ることはありません。

最後に、これが一番大切なのですが、口呼吸は「呼吸のしすぎ」になりやすいです。一方鼻呼吸をすると、口呼吸よりも色々な抵抗が働くため、口呼吸の半分くらいしか空気を取り入れることができなくなり、余分な空気を取り込まないようになります(=呼吸をしすぎなくなる)。

呼吸のしすぎがなぜダメなのか、をここから解説していきます。

呼吸をする理由

呼吸する理由

ヒトはなぜ呼吸をするのか? 答えは「脳と体に酸素を送るため」です。脳と体がちゃんと活動をするためには酸素が必要なので、呼吸をして酸素を取り入れるのです。

運動をすると、呼吸が速くなりますよね? 運動をすると、脳も体も普段以上に酸素を使います。よって、いつもよりも早く酸素が体内から失われるため、運動を続けるために、急いで酸素を取り入れなくてはいけなくなります。だから呼吸を速くして、たくさん酸素を取り入れようとします。「息切れをする」のは、体内に酸素が足りなくなり、これ以上活動を続けられません、というサインです。

逆に、睡眠中やリラックスしているときは、呼吸もゆっくりになりますね。脳や体が活動のために酸素をそこまで必要としていないので、呼吸の回数が減ります。脳は呼吸を無意識的にコントロールしていて、そのときに必要な分だけ、呼吸によって酸素を取り入れています

安静時呼吸と努力時呼吸

上で説明した話を、少しだけ専門的な言葉を使ってもう一度説明します。

睡眠中やリラックスした状態での呼吸のことを「安静時呼吸」と言います。逆に、激しい運動などをしている時は「努力時呼吸」を行なっています。これを脳は無意識的にコントロールしていて、その時に必要な量の酸素を体内に取り入れます。

ここで重要なのは「脳は無意識に、必要な量の酸素を体内に取り入れるために呼吸をコントロールしている」というところです。呼吸の能力がしっかりとある人は、状況に合わせて呼吸の量を調整することができるのですが、呼吸能力が低下すると、一回の呼吸では必要な量の酸素をうまく体内に取り込むことができないため、呼吸の回数を増やしたり、安静時にも頑張って呼吸をするようになります(←これを脳は無意識にコントロールしている)。

常に努力時呼吸をしている人が多い

普通、リラックス時などの安静時呼吸で使われる主な筋肉は「横隔膜」「肋間筋(肋骨の間に付いている筋肉)」「腹筋群」「骨盤底筋群」です。そして運動時など、より酸素が必要な時は、これらの筋肉に加えて「首・肩・背中の筋肉」などを使って努力時呼吸を行います。

ですが、「ゆっくりとした安静時呼吸で必要な量の酸素を体内に取り込むことができない」くらい呼吸の能力が低下してしまっている場合、脳が呼吸をコントロールして、常に努力時呼吸を行って酸素を必死に体内に取り入れようとし始めます。

常に努力時呼吸をしているとどうなるかというと、普通は安静時には働かなくて良い、努力時呼吸のときのみ働けばいい首・肩・背中などの筋肉を、一日中ずっと使うことになります。ゆっくりのスピードでもずっとジョギングをし続ければ、だんだん脚は疲れてきますよね? それと同じことが、ずっと努力時呼吸をしていると首・肩・背中に起こり、結果として「首こり」「肩こり」など筋肉のこり、疲れ、痛みとなって現れてきます。

活動のために酸素が必要だから、呼吸をする。でもうまく酸素が取り入れられないから、鼻呼吸よりも抵抗なく呼吸ができる口呼吸にしたり、呼吸の回数を増やしたり、首や肩の筋肉を使って呼吸をしたりする。その結果、免疫力が低下して風邪を引いたり、首や肩が凝ったり、頭が痛くなったりする。呼吸がうまくできないと、身体に様々な悪影響が及ぼされることがわかります。

呼吸のしすぎは他にも、「緊張状態がずっと続いてしまう」「疲れが取れにくくなる」「血流が悪くなって冷え性になる」「横隔膜を使わなくなって呼吸が浅くなる」など、身体に様々な悪影響があります。

呼吸トレーニングをするべき理由

呼吸トレーニング

呼吸トレーニングをするべき理由、目的は「呼吸の能力を高めること」です。そして、呼吸の能力を高めて達成したいことは「呼吸の量を減らす」こと。1回の呼吸で充分な酸素を脳と体に送ることができるようになれば、頑張って呼吸をする必要がなくなるため、首や肩の筋肉を使わずにすみ、コリが解消されるかもしれません。無意識的に多くの酸素を求めて口呼吸にならなくなるため、鼻で呼吸をすることによるメリットを受けることができます。

呼吸トレーニングによって呼吸能力を高めることで、呼吸のしすぎを防ぎ、結果身体には様々なメリットがあります。呼吸能力を高めるトレーニングの方法は様々な種類がありますが、あなたが今この瞬間からすぐにできる呼吸トレーニングが「口呼吸をやめて、鼻呼吸をすること」なのです。

まとめ

この本にはさらに、自分の現在の呼吸機能はどうなのか? 呼吸能力は高いのか?低いのか? をチェックする具体的なテスト方法や、呼吸機能を高めるためのエクササイズが写真つきでたくさん載っています。レベル別になっており、とてもわかりやすく解説されています。

運動指導者、アスレティックトレーナー、さらにはこれらを目指している学生さんにとっては、本当に「呼吸の教科書」として使える本だと思いました。呼吸エクササイズを練習して、まずは自分ができるようになって、人に指導できるようになりましょう。

CHAINON管理人

EXOS8のコピーATSUSHI(山口淳士)。米国公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)。外資系企業内のフィットネスセンターで健康指導・運動指導を行う。その他、ストレッチポール公式ブログでの記事監修や、GAP英語勉強会の講師なども。

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