ハムストリングの肉離れ その2〜ケアとリハビリ〜

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以前、その1としてハムストリングの肉離れの特徴と原因を紹介しました。今回はその2として、ハムストリングの肉離れになってしまったらどうすればいいのか。なってしまってからのケアの方法をまず紹介します。

 

>>ハムストリングの肉離れその1の記事はこちらから。

 

また、ただケアをするだけでは、その1の記事でも言ったように、また同じケガを繰り返してしまいます。ハムストリングの肉離れは、再発の可能性がとても高いですからね。また肉離れをしないように、ハムストリングや骨盤周りの筋肉を鍛える必要があります。

今回は、ケアの方法とともに、スポーツへ復帰するまでのリハビリとしてできるハムストリングのエクササイズもいくつか紹介します。今回の参考文献はこちらです。

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ham scsho

Hamstring Strain Injuries: Recommendations for Diagnosis, Rehabilitation, and Injury Prevention

前回に引き続きです。ハムストリングの肉離れの見分け方、リハビリの方法、そして肉離れにならないための予防法を紹介した論文です。

 

2 rehab scsho

A Comparison of 2 Rehabilitation Programs in the Treatment of Acute Hamstring Strains

ハムストリングの肉離れに対して、2種類のリハビリプログラムを使用し、どちらのプログラムの方がスポーツに完全復帰する期間が短いか、または復帰後に再発が少なかったか、を比較した論文です。

 

ハムストリングス肉離れのケア

ハムストリングの肉離れになってしまったら (もしくは肉離れっぽいなって思ったら)、どんなケアをすればいいのかを、ここから紹介していきます。

 

アイシング (RICE)

The42より

ハムストリングの肉離れになってすぐは、まずRICE (ライス) をしましょう。

 

>>以前書いたRICEについての記事はこちらから。

 

肉離れになって2日間〜4日間(肉離れの程度/ひどさによって違う)は、1日に最低でも2〜3回はRICEをしましょう。氷で冷やすこと(=Icing)で筋肉の感覚を鈍らせ、痛みを和らげるとともに、代謝を減らすことでそれ以上ひどくなることを防ぎます。また、圧迫(=Compression)や挙上(=Elevation)をすることで、腫れを最小限に抑えることができます。

RICEは1回15〜20分やりましょう。終わったら、エースラップや包帯などを患部に巻いて、圧迫のみは続けます。アイシングをしていない間も圧迫だけは続けることで、腫れを抑えることができます。 足を上に挙げておく(=挙上する)こともできれば、なおさら良いです。

 

動きの制限/過度なストレッチはしない

肉離れっぽいなーとか、痛めたかなーと思ったら、それ以上悪化させないようにすることが大切です。その1の記事の最初に言いましたが、肉離れの定義は「急激に筋肉が収縮した結果、筋膜や筋繊維の一部が損傷することWikipediaより)

 

ハム_肉離れ_ストレッチ

肉離れをした筋肉は、一部の筋膜や筋繊維が切れています(右図参考)。そのため、 肉離れをしてすぐにその筋肉をストレッチすることは、その損傷を悪化させてしまう可能性があります。肉離れになって数日(2〜3日)は、過度なストレッチは避けましょう。

症状がひどい肉離れの場合は、歩くときに普段よりも歩幅を狭くして、ハムストリングに痛みが出ないようにしましょう。病院へ行って医者に診てもらうことも大切です。ハムストリングのひどい肉離れの場合、松葉杖を使う必要があることもあります。

 

エクササイズ

肉離れをそれ以上悪化させないことが一番重要ですが、全く動かさないのも逆効果です。肉離れになってすぐは過度なストレッチは避けるべき、と上で言いましたが、なにもしないと、ケガした部分が固まってしまったり、ハムストリングの筋力が落ちてしまうので、再発しやすくなってしまいます。

そのため痛みのない範囲で軽い運動をし、ハムストリングに負荷を少しずつかけていくことが大切です。

 

さて、参考にした論文の1つは、2種類のハムストリングのリハビリプログラムの効果を比較しています。1つは「ストレッチとレジスタンストレーニング」に焦点を当てたプログラム。もう1つは「体幹とアジリティトレーニング」に焦点を当てたもの。

結果は、ストレッチとレジスタンストレーニングを中心に行ったグループの半分以上の選手(54.5%)が、競技復帰から16日以内に再びハムストリングを傷め てしまったそう。対照的に、体幹とアジリティトレーニングを中心に行ったグループの選手は、1人もハムストリングを再び傷めることはなかったということです。

 

また、ハムストリングの肉離れをしてから競技に復帰するまでにかかった日数も、ストレッチ&レジスタンストレーニングのグループは平均で37.4日かかったのに対し、体幹&アジリティグループは22.2日でした。

というわけでここから、参考文献を参考に、僕がいいなと思った体幹やアジリティのエクササイズを、Phase1とPhase2に分けていくつか紹介していきます。

 

Phase1(怪我した直後〜)

上でも言ったように、怪我した直後はまず、それ以上悪化をさせないことが大切です。1日2〜3回のRICE処置をすること。エクササイズをするときも、過度なストレッチは避けましょう。歩幅を短くすることなく普通に歩くことができて、かつ軽いジョギングができるようになったら、Phase2に進みましょう。

 

エアロバイク(〜10分)

サドルの高さを調整することで、過度なハムストリングのストレッチを避けることができます。ハムストリングを動かすことが目的なので、負荷はほぼゼロでいいです。

 

キャリオカステップ

 

スピードはあまり出す必要はありません。痛みが出ない程度に、骨盤からしっかり動かしましょう。

肉離れしてすぐにキャリオカみたいな走るような動きをして大丈夫なのか?と思う人もいると思いますが、ハムストリングは膝を曲げたり、股関節をお尻側に引くような矢状面の動きに働く筋肉。キャリオカのような横の動き(=前額面では、ハムストリングの長さはあまり変わらないので、過度なストレッチをさせることなく、ハムストリングに刺激を与えることができます(もちろん、痛みが出ない範囲でやることが大切。痛みが出る場合はやめましょう)。

 

片足バランス(目を開けて/目を閉じて)

(左写真:Hungry&Fitより 右写真:fitbieより)

ハムストリングを痛めたほうの足で片足で立って、バランスをとります。バランスをとる際、骨盤が前傾(=腰がそる)したり後傾(=背中が丸くなる)しないように、ニュートラルを保ちましょう。最初は目を開けて。できるようになったら目を閉じたり、少しアンバランスなものの上に立ってバランスをとります。

 

フロントプランク

前腕とつま先のみで体を支えます。腰が反ったり背中が丸まったりすることなく真っ直ぐを保ちましょう。1セット20〜30秒を3〜4セットやります。フロントプランクが簡単にできるようになったら、体真っ直ぐを保ちながら片方の腕をあげましょう(=ワンアームリフト · フロントプランク)。

 

サイド · ローテーションプランク

腕立て伏せのポジションから片腕を上げ、その手を天井の方に持っていきます(=スタートポジション)。ここから、上半身を地面側に回転させ、上にあげた手を、体を支えている腕側の脇の下に通し、またスタートポジションに戻ります。

 

Phase2(痛みなしに歩くことができ、軽いジョギングも可能になったら)

Phase2からは、エキセントリック収縮(筋肉をストレッチさせながら力を発揮する)を使って、Phase1よりもハムストリングに負荷をかけていき 、練習復帰に向かっていきます。痛みが出ない範囲でジョギングのスピードをあげていき、上で紹介したキャリオカやサイドシャッフルなどの横の動きも、スピードを徐々にあげていきます。

 

シングルレッグRDL

RDLとは、Romanian Deadliftの略。片足(ハムストリングを痛めた方)で立ち、バランスをとりながら股関節を曲げて、徐々に上半身を前に倒していきます。腰が反ったり猫背になったりすることなく真っ直ぐを保ちながら、背中が地面と平行になるところまで股関節を曲げ、元の位置に戻ります。

上の写真では青いパッド(バランスがとりづらい)に立ち、左手にはウエイト(=ケトルベル)を持っていますが、最初は硬い地面の上で、ウエイトもなしでやりましょう。痛みなく簡単にできるようになったら、ウエイトを持ったり、パッドに立ってやってみましょう。

 

ブリッジウォーク

仰向けになり、股関節45°、膝関節90°に曲げます(膝を立てる)。つま先も上に持ち上げます(=足関節背屈)。そこから骨盤を上に持ち上げます(=股関節の伸展)。そこから少しずつ膝を伸ばしながら、足の方向にかかとで歩きます。2ステップずつくらいやったら、元の位置にもどってきます。この間ずっと骨盤は上に持ち上げたまま。10回を2〜3セットするといいでしょう。

 

ボクサーシャッフル(Boxer Shuffle)

横に進みながら、足を交互に前後させます。同時に、股関節も回旋(ツイストのような感じ)させます。

 

早いスピードでの動きを除いた、競技特有の練習

早いスピードの動きをせずに、自分の競技の練習に少しずつ戻っていきます。早いスピードの動きは、ハムストリングの肉離れを起こしやすいメカニズムの1つ。なので、スピードはくれぐれも少しずつあげていくこと。もちろん痛みが出ない範囲でやっていきます。

 

BOSUランジ(+ショルダープレス)

下の写真にうつっている青い半球状のものをBOSUボールと言います。そのBOSUボールから1メートルくらい離れたところに立ちます。そこから、BOSUボールの中心に足をのせてランジをします。後ろ脚の膝が地面にギリギリつかないところまで膝を曲げ、また元に立っていた場所に足を引いて 、スタートポジションに戻ります。

BOSUランジができるようになったら、片手にダンベルやケトルベルを持って、ランジと同時にショルダープレス(上写真左)を行いましょう。さらに強度が高くなります。

 

バランスボールブリッジ&レッグカール

仰向けの状態で、バランスボールの上に両足をのせます。その状態から骨盤を上にあげてブリッジ。その骨盤の位置を保ったまま、膝を曲げてバランスボールを自分側にゆっくり転がしてきます。さらに、骨盤はまだ高い位置を保ちながら、膝を伸ばしてバランスボールを元あった位置までゆっくり転がし、骨盤を下におろします。

このエクササイズはかなり強度が高いため、競技復帰に近づいてから行いましょう。 

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少しだけトレーナー向けに。

練習への完全復帰は、以下のものすべてがクリアされたら。

・膝屈曲(15°と90°)のMMT(=マニュアルマッスルテスト)で5/5

・ハムストリング全体への触診による痛みがない

・ダッシュやジャンプが痛みなくできる

他にもいろいろなテストはありますが、最低限これらをクリアしてから練習に復帰させましょう。

 

まとめ

ハムストリングの肉離れその1の記事でも言いましたが、肉離れの再発が一番起きやすいのは競技復帰してから2週間。かといって、リハビリに時間をかければかけるほど再発の可能性が低いかといえば、そうでもありません。

参考文献では、肉離れを再発した選手と再発をしなかった選手の、競技復帰にかかった日数を比べています。結果は、再発をした選手は35.2日。再発しなかった選手は25.4日。むしろ再発をした選手の方がリハビリに時間をかけていた、という結果でした。

競技復帰までの時間が重要なわけではなく、痛みと相談しながら、ケアをしつつもハムストリングに早い段階で刺激を入れ、段階をしっかりと踏んで徐々に強度とスピードを上げていく。しっかりと1つ1つ過程を踏んでいくこと重要です。

特にハムストリングに強い負荷がかかるダッシュやジャンプは、Phase2のエクササイズとして紹介したものすべてが痛みなくできるようになってから、徐々に始めていきましょう。また、ハムストリング肉離れの再発を防ぐために、競技復帰したあとも数週間はリハビリは続けるようにしましょう。

 

ふぅ。かなりボリューミーな記事になってしまった(笑) 

 

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コメント

  1.  スズキ より:

    すごく参考になりました。
    今後の投稿も期待します

    1. ATSUSHI より:

      スズキさん

      コメントありがとうございます!
      最近少しバタバタしていて更新できていませんが、定期的に少しずつ投稿していこうと思っています!
      今後もよろしくお願いします!

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